鉄道が主役の旅スタイルを応援する見どころ案内
[場所]JR高山本線 下呂駅付近
岐阜県の下呂温泉は、日本三名泉の一つに挙げられる温泉郷にして、JR高山本線下呂駅からも至近で交通の便も良いため、温泉街を形成した観光地になっている。
日本三名泉とは群馬県の草津温泉、兵庫県の有馬温泉、そしてココで紹介する下呂温泉を指し、室町時代の詩文集「梅花無尽蔵」に3つの温泉が記載されているのを、江戸時代に林羅山が受けて自らの詩文にもこの3つの温泉名を記したことが由来になったと言われている。
そのような名温泉地を高山本線の線路が掠めるように敷設されていて、端から眺めるとトレインビューの宿になりそうなホテルが数軒見受けられる。
なので当初は「下呂温泉のホテルでトレインビューを楽しもう…」のような記事を書こうと思い、いろいろな旅サイトの下呂温泉の宿泊プランを探したのだけれども、トレインビューのプランは見つからなかった(汗)。
ということで、「下呂温泉でトレインビューの宿を見つけよう」にタイトルを変更して、他の温泉地において日中にもダラダラする予約時の経験を元に例を挙げ、トレインビューの温泉ホテルでの過ごし方のスタイルを記していこう。
そんなわけで、ココでは下呂温泉の特定ホテルをレポートで紹介するわけではなく、トレインビューの宿を楽しむ能書きに留めていることをご理解いただきたい。
まず重要なのは宿泊予約時にトレインビューの部屋があって、そこに泊まれるかの確認…。トレインビューの部屋があるのならば、次に滞在はどのくらいの時間までできるのかを確認。さて、下呂温泉のホテルの利用時間を見てみると、チェックイン15時~チェックアウト10時なのが大方を占めている。1泊ならコレでも仕方ないが、温泉トレインビューを堪能するにはやはり2泊以上連泊して部屋と風呂の間を日中も何往復かしたいモノ。特にトレインビューがメインなら時刻表を見ながら列車の通過時刻を確かめて、その列車がこない時間の合間を突いて風呂にいくというのも面白いだろう。そこで、連泊なら日中も部屋に滞在できるかの確認もしなくてはならない。トレインビューの部屋に昼間も居られるならば、超ベストな宿と言えることができる。
もう一つ確認したいのは食事の場所。大広間でもトレインビューならそれなりに満足はできるだろうが、可能なら夕食は部屋食にした方が、落ち着いて行き交う列車が眺められる。
筆者の知人には温泉宿一軒に3泊とか連泊して、その間に宿から一歩も出ないといった旅スタイルの強者がいる。このような温泉宿の利用の仕方をトレインビュー温泉宿に置き換えて、一つのレジャーのスタイルとして実践するのも面白いかなと考える。
上記のような条件に合う温泉宿はそうそうあるとは思えないが、いろいろな宿に泊まっているうちに相性が良いトレインビューの宿に出逢えれば見つけモノだ。
岐阜駅側からの道中の車窓も見どころ
鉄道旅の楽しみの一つに、車窓に展開する移りゆく景色を眺めながらの飲食もあると思う。
高山本線の線路は岐阜駅側から乗った場合、上麻生駅を過ぎた辺りより、峡谷となった飛騨川に沿って山間へと分け入る区間になる。
その先、車窓に続く飛騨川の渓谷は様々な表情を見せ、眺めているだけでワクワクが止まらない…。
それこそ高山本線は車窓の景色がウリの路線と思われる。
そんな高山本線に特別車輛を使用した観光列車が、現時点では走っていないのが何とも不思議である。
■この冬、JRで行く冬の飛騨路キャンペーンを開催
JR東海は2021年12月から2022年3月まで「JRで行く冬の飛騨路」キャンペーンを催す。
下呂温泉も範疇に入っているので、そのURLを載せておこう。
https://recommend.jr-central.co.jp/hida-tabi/winter/
河原の露天風呂、噴泉池が足湯専用になる
各方面でニュースになっているので、いまさらネタだが、下呂温泉の真ん中を流れる飛騨川の河原にある露天風呂の「噴泉池」が2021年12月1日から足湯専用になる。
まぁ理由は推して知るべしなので、それをココで書く必要はないだろう(笑)。
ここに掲載の内容はアップ日時点の情報になります。その後に状況の変化や、変更があった場合にはご容赦ください。
[寄稿者プロフィール]
秋本敏行: のりものカメラマン
1959年生まれ。鉄道ダイヤ情報〔弘済出版社(当時)〕の1981年冬号から1988年までカメラマン・チームの一員として参加。1983年の季刊化や1987年の月刊化にも関わる。その後に旧車系の自動車雑誌やバイク雑誌の編集長などを経て、2012年よりフリー。最近の著書にKindle版『ヒマラヤの先を目指した遥かなる路線バスの旅』〔三共グラフィック〕などがある。日本国内の鉄道・軌道の旅客営業路線全線を完乗している。