天井川掘削トンネル探訪(4)JR東海道本線・草津川…補足

草津駅前の中仙道&東海道jct.追分道標モニュメントの原物を訪ねてみた

[場所]JR東海道本線 草津-南草津

JR東海道本線 草津川隧道は2021年1月23日アップの記事「天井川の掘削トンネル探訪(4)JR東海道本線・草津川隧道」で紹介したが、その中で駅前に建立されている中仙道&東海道追分道標モニュメントを載せている。
さて、その道標モニュメントだが「左 中仙道美のぢ」と記された面が北東側なのが、実際の中仙道の分岐(交わる)方向とズレているようで、筆者的に何かしっくりこなかったので、気になる同モニュメントの元になった原物の草津宿追分道標を訪ねてきた。

草津駅東口前に立つ追分道標モニュメント。東海道本線基準で見ると奥が京都方、手前が名古屋方。
左が名古屋方、右が京都方。
いかなる理由でしっくりこなかったかというと、実際の向きに合わせるなら「左 中仙道美のぢ」の文字は本来「草津宿」の文字が記されている面にこなければならないのではと直感したからになる。
なぜなら、旧東海道と旧中山道は草津宿で分岐してて京都側から東京方を眺めた場合、旧中山道が直進、旧東海道が右折になる。ということは道標的には案内標識面が直角に接していなければ可笑しいからだ。

■では原物の草津宿追分道標はどぅなっているか…
中仙道&東海道jct.の草津宿追分道標は草津駅東口から約400mの旧草津川の天井川トンネルをくぐった先、観光名所の草津宿本陣からだと北東に約70mの地点にある。
草津駅東口から徒歩で行こうとするなら、サンサン通り(駅前通り)を南東に約150mの「PACHINKO & SLOT GINGA」の角で交差する道が旧中山道なのでそこを右折(南西方)して、250mほどで旧草津川の天井川トンネルに着くので、これをくぐったスグ左側に立っている。

旧中山道で、奥が京都方、背後が加納宿(岐阜)方。上に通っているのは旧草津川で、南西向きに眺めており、トンネルを抜けた向こうスグ左に追分道標の原物が建立されている。
上写真の旧中山道のトンネルを抜けた反対(北東)方向の光景で、右に立っているのが追分道標の原物。奥が加納宿(岐阜)方、道標の手前で右に向かっている道路が旧東海道で先は熱田宿(名古屋)方、背後は旧東海道で京都方。
原物の追分道標のアップ。
上の原物の写真を見てもらうと解るとおり、「左 中仙道美のぢ」と「右 東海道いせみち」を記した面は直角に接している。
なお草津宿追分道標の解説については、付近に説明板が2枚あったので、その写真内を読んでいただきたくお願いする。

上写真の右(南東)隣に設置されている説明板。
道標の左隣に掲げられている説明板。
上述もしたが、京都側から見て、この草津宿追分道標で分岐する旧街道は直進(東京方)先が旧中山道で、T字路右折側が旧東海道になる。その手前南西寄り(京都方)の旧街道は旧中山道からの直進ながら旧東海道になるのでややこしい。
さらに混乱することを記すと、鉄道の 岐阜-草津 間は「東海道本線」を名乗っているが、ほぼ中山道のルートをなぞっていて、名古屋-関西本線-柘植-草津線の方が江戸時代の東海道のルートに大方沿っているといえる。このことは当サイトの読者にはいまさらネタとは思う。
ではナゼこのようなことをあえて述べたのかというと、草津駅東口の追分道標モニュメントの文字配置は、制作者がデザインする時に駅前への建立ということもあって、歴史的事実を取るか、線路の向き的現実を取るべきか、多分考えた末に結果どちらでもない見栄えを優先したのではないかと直感した、その根拠として記してみた。知らんけど(笑)。
ところで、この京都方の旧東海道沿い南側(草津宿本陣の対面)にはいろいろな説明板が他にも立てられているので、それらの写真も載せておこう。

草津まちづくりセンター脇の旧東海道沿いの説明板。
上のスグ右に立っている草津宿の説明板。
その奥に設置された草津宿の案内板。

■追分道標から見て旧東海道の対向側には草津宿本陣
上にも記した通り、追分道標が立つT字路から京都方(南西寄り)は旧東海道だが、その場所から道の対向側には草津宿本陣がある。
せっかくなので、そこも本陣の外観だけだが掲載してしまおう。

草津宿本陣の外観。前を通る道路は旧東海道で左が京都方、右方フレーム外に追分道標がある。
本陣入口に掲げられた入館ご案内。真ん中のポスターの展示は当然ながら現在は開催されていない。
●草津宿本陣
 開館時間 9時~17時(入館は16時30分まで)
 休館日 毎週月曜日(月曜日が祝日の場合はその翌日)、
     祝日の翌日(土・日曜と重なった場合は開館)
     年末年始
 その他、入館料や詳細は下記からリンクにて。 
開館時間・入館料・周辺地図など|草津市 (city.kusatsu.shiga.jp)

タイトル写真に違和感を抱いた人が少なからず居るハズ

タイトル写真はJR東海道本線 草津駅 での撮影だが、なんと683系サンダーバードが写っている。それはどうしてなのか? すでに2021年1月23日アップの記事の中でサワリは記しているが、ココであえてその話題をぶり返してしまおう。

草津駅からの南西(京都)方の眺めで、電車は東海道線上り列車線を走る683系使用のサンダーバード。
こちらは東海道線下り列車線を走る683系使用のサンダーバード。
あっさり答えをいってしまうと、コレは琵琶湖強風によるサンダーバード米原迂回運転をしているだけになる。ただ、眺めていると、とても盛りスジとは思えないスムーズな運行を熟していた。
おそらくであるが、すでにこのような状況になった時のスジは存在しているのであろう。サスガである。

ここに掲載の内容はアップ日時点の情報になります。その後に状況の変化や、変更があった場合にはご容赦ください。

[寄稿者プロフィール]
秋本敏行: のりものカメラマン
1959年生まれ。鉄道ダイヤ情報〔弘済出版社(当時)〕の1981年冬号から1988年までカメラマン・チームの一員として参加。1983年の季刊化や1987年の月刊化にも関わる。その後に旧車系の自動車雑誌やバイク雑誌の編集長などを経て、2012年よりフリー。最近の著書にKindle版『ヒマラヤの先を目指した遥かなる路線バスの旅』〔三共グラフィック〕などがある。日本国内の鉄道・軌道の旅客営業路線全線を完乗している。