JR東日本で一番短いトンネル

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[場所]JR五能線 陸奥岩崎-十二湖

かつて日本一短い鉄道トンネルといえば群馬県のJR吾妻線 岩島-川原湯温泉(旧・川原湯)間にあった7.2mの樽沢トンネルだったが、八ッ場ダムの工事にともなう 岩島-長野原草津口 間の新ルート付け替えにより2014年9月25日をもって鉄道トンネルとしての使命を終えた。その同区間の新ルート使用開始は10月1日で、この間の5日間は 中之条-大間 間は代行バスが運行された。
次に日本一短い鉄道トンネルになったのは広島県のJR呉線 安芸川尻-安登 間にある長さ8.7mの川尻トンネルだが、そこは後日にいずれ検証させていただくこととして、この度はJR東日本で一番短いトンネルを紹介しよう。

吾妻線の廃止になった旧ルート 岩島-川原湯 間にある樽沢トンネルの岩島方で1983年5月の撮影。樽沢トンネルの辺りって線路が道路よりかなり上の高い所を通っているのだが、どうやってこの位置から写真を撮れたのか…38年も前のことは筆者は思い出せない。
樽沢トンネルの現役引退によってJR東日本で一番短いトンネルになったのは青森県のJR五能線 陸奥岩崎-十二湖 間にある長さ9.5mの仙北岩トンネルで、位置的には十二湖駅北西(川部方)約1kmほどの地点にある。
なお撮影日は実は2018年6月25日なので、登場車輛がキハ40系気動車になっているけれど、アップ日時点では普通列車の運用車輛はGV-E400系であることを、あえて申し添えておく。読者の皆さんはもぅご存知とは思うが…。
では仙北岩トンネルを眺めてみよう。

右の隧道が仙北岩トンネルで、その南西側の日本海に突き出た岬の上の賽の河原という場所からの眺めになる。左の隧道は74.5mある森山トンネルで、このトンネルと連続していて開けるのが一瞬のためか、列車に乗っていても仙北岩トンネルを通過した時に意識していないと短さはあまり実感しない。車輛はキハ40系で、タイトルとの連続撮影。
賽の河原からワイドに捉えた北向きの景色。右端が仙北岩トンネル。列車が写っていないのはご勘弁。
タイトルと上2枚の写真の仙北岩トンネルを撮影した地点の「賽の河原」という場所は、岬の断崖の上だが柵はない。筆者が訪れた時は向かい風の北風だったので怖くはなかったが、南西風の時にはかなり危険な場所なので注意が必要だろう。訪れるなら風向風速を事前に調べて、南西風ではない日を選んだ方が良いと思われる。
せっかくなので、次は岬の丘の下の海岸に広がっている岩棚からの眺めもお見せしておこう。

海面に近い高さの岩棚からの眺めで、この位置からだと森山トンネル(左)と仙北岩トンネル(右)の間は車輛の屋根上しか見えず、トンネルの短さが写真からは伝わらない(汗)。車輛はキハ40系。
岩棚からワイドめに捉えた眺めで、岩棚が海面とほぼ同じ高さなのが解る。上写真との連続撮影で、列車は左(川部)方に走っていて、ズーミングでタイミングがおくれたため、キハ40系が仙北岩トンネルよりちょびっと出た前面しか写っていない(笑)。
上写真を見て解るとおり、海面とほぼ同じこの高さからだと仙北岩トンネルがJR東日本一短いトンネルらしい写真にはならない(笑)。
ところで、この記事のアップが遅れた理由は、実は2020年内までにはアップしようと考えて写真を撮ってあったのだが、うっかり他記事を優先していたら運行車輛がGV-E400系になって発表しずらくなり、それを躊躇しているうちにさらにアップが伸び伸びになってしまったことによる。だが、当サイトの読者なら掲載画像のキハ40系がもう五能線で走っていないのは百も承知していると思ったので、撮り直しはせず、この時期に当時の写真でアップさせていただいた。そのような事情をご理解いただきたい。

■岩肌も見ていこう
この際だから、お立ち台のある岬の仙北岩トンネル側ではない南側海岸の奇岩の写真も載せておこう。

右の丘の100mほど先に賽の河原がある。
上写真からスグ左にある象岩。
さらに左にある かんざし岩。こちらは目前に岩棚が広がっている。
最近は模型テツの間でT-TRAKボードやミニジオラマ制作が流行っているようなので、そのようなモデラーの方々に丘や岩肌表現の参考としていただけたら幸いだ。

日本一短い鉄道トンネルは後日に検証

JR呉線 安登-安芸川尻 間にある川尻トンネルは、吾妻線樽沢トンネルの現役引退に伴い「日本一短い鉄道トンネル」の称号を得た。

安芸川尻駅の三原寄り(北)端から眺めた川尻トンネル。馬蹄形断面の部分は8.7mだが、その先にトンネルと一体化した跨線道路橋があるので、形態に捕らわれず、線路を覆っている部分を総体的にトンネルと捉えると10m以上の長さがあることになってしまう。
川尻トンネルは安芸川尻駅から至近なので、上写真くらいは何げに撮っている。しかしまだ同駅で下車したことはないので、実質的には川尻トンネルを訪れてはいない。
訪問前に言いたくはないのだが、グーグルマップを見る限りでは10m以上あるし、上写真でも解る通り隧道上に山がないなど開削隧道の可能性もある。
開削隧道だからといっても「トンネル」としては間違いではないのだが、やはり掘削隧道が日本一の座を取って欲しいのは心情ではある。

ここに掲載の内容はアップ日時点の情報になります。その後に状況の変化や、変更があった場合にはご容赦ください。

[寄稿者プロフィール]
秋本敏行: のりものカメラマン
1959年生まれ。鉄道ダイヤ情報〔弘済出版社(当時)〕の1981年冬号から1988年までカメラマン・チームの一員として参加。1983年の季刊化や1987年の月刊化にも関わる。その後に旧車系の自動車雑誌やバイク雑誌の編集長などを経て、2012年よりフリー。最近の著書にKindle版『ヒマラヤの先を目指した遥かなる路線バスの旅』〔三共グラフィック〕などがある。日本国内の鉄道・軌道の旅客営業路線全線を完乗している。