日本標準時東経135度子午線が貫く駅

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[場所]山陽電鉄 人丸前駅

皆さん、日本の一元化された標準時刻が兵庫県明石市を通る東経135度子午線に太陽が南中した時が正午で、そこから日本標準時(JTS)が決まっていることはご存知と思う。
さて、この日本標準時の東経135度子午線が通る駅は、案外「明石」駅付近だと思われがちだが、実は違うのだ。
その東経135度子午線がまさに貫通している駅が山陽電鉄人丸前駅になる。
ということで、人丸前駅を訪ねてみた。

人丸前駅。出入口は南側のみ。
そもそも、この日本標準時という考え方だが、英国ロンドンのグリニッジ天文台の位置を世界共通基準の経度0度(本初子午線)に太陽が南中した時を正午としたグリニッジ標準時(GMT)が19世紀中頃に定められているが、ココから15度づつが1時間になるので、日本は時差+9時間の東経135度子午線が関西のやや西という丁度良い所に通っているため、このタイムゾーンを日本標準時に定めている。
日本は基準になる東経135度子午線が国内に通っているので分かりやすい。だが、やや外れた縦長の某隣国でもこの日本標準時と同じタイムゾーンに入っていて時差が無いのは楽しい。
なお、グリニッジ標準時は、1970年に協定世界時(UTC)と同義として認められ、現在ではこちらが広く使用されている。

券売機右横に人丸前駅が「しごせんのえき」なことを伝えるプレートが掲げられている。
上写真の地点から右へ改札口を挟んだ位置の壁に掲げられたプレート。千葉県の新鎌ケ谷駅脇を東経140度線が通っていることを伝えている。
それにしても、山陽電鉄のスゴイところは、プラットホームに東経135度子午線の位置を明示しているモニュメントを設置しているってところ…。
もぅこれは機会があれば、いわゆるインスタ映えとして訪ねるしかないでしょ…ってな感想を抱いてしまうだろう。もちろんコレは人それぞれなので、反論は買いません(笑)。

■それでは高架上のプラットホームへ
写真3枚上を見てもらえれば解る通り、人丸前駅のプラットホームは高架線上にある。それではそのホームへ上がってみよう。

人丸前駅明石寄り(西側)からの大蔵谷方(東向き)の眺め。電車は3000系3074F。
東経135度子午線のモニュメントはプラットホームの明石駅寄りにあり、1991年4月3日の人丸前駅周辺の高架化に合わせて設置されたと言われている。
ではこのモニュメントをグルッと時計回りに眺めていこう。

明石方(西向き)の眺め。電車は6000系6010Fで、タイトルと同じ編成の後追い。右(北側)はJR山陽本線。
上の6000系6010Fに貼られたラッピング。「シゴセンオー」については、下記URLにて。
www.sanyo-railway.co.jp/media/1624424731.pdf
上々と同じ地点からの北西向きの眺め。右の建物は明石市立科学館。電車は6000系6006F。
子午線上からの北向きの眺め。電車はJR山陽本線列車線下り線を走るJR223系使用の新快速。
上写真の防音壁のモニュメントへ近づいて見たトコロ。列車はJR山陽本線列車線上り線を走るJRキハ189系気動車使用の特急はまかぜ。
大蔵谷方(東向き)の眺め。電車は3000系3100F。
タイトルと5・6枚上の写真のヘッドマークやラッピングなどが気になった方も居るのではないだろうか。コレは、東経135度子午線が日本標準時子午線に制定されたのが1886年(明治19年)7月13日で、この夏が丁度135周年となるため掲げられているモノ。2021年9月30日まで掲出される。
ところで、山電人丸前駅の位置だが、並行するJR山陽本線で見ると 朝霧-明石 間になる。そんなわけで、JR線にも東経135度子午線を示す何かがあるのではないかと思い探してみた。それが下の写真になる。

人丸前駅高架線防音壁外側のモニュメントはJR山陽本線(北側)から眺められる。左が神戸方、右が明石方。左奥にあるのは明石海峡大橋。
ただしこのモニュメントも山陽電鉄の設備なので、そこはJR線からも東経135度子午線の位置を知らせるための山電の好意として受け留めるのが良さそうだ。

■山陽電鉄高架線の反対側も眺めてみよう
JR線(北)側に東経135度子午線を示すモニュメントがあるのなら、南側にも同様のモノがあるのではないかと思い、人丸前駅を下車して撮ったのが以下の写真になる。

まずは上写真と同じモニュメントから見ていただこう。高架線は左が山陽電鉄で、防音壁の白いタテスジがモニュメントだ。右はJR山陽本線で、西向きに眺めている。
山陽電鉄の高架線南(外)側のモニュメント。電車は屋根しか見えないが6000系。
やはりあった(笑)。
せっかくなので、さらに界隈を彷徨って見つけたのが下の3点になる。鉄道とは関係ないモノだが、当サイトは鉄道旅もテーマであるので、駅周辺の見ドコロとして載せてしまおう。

消火栓蓋。
マンホール蓋。
明石子午線郵便局前に立つ碑。

東経135度子午線以外で経線・緯線のモニュメントがある駅

■千葉県・新鎌ケ谷駅
14枚上の写真に新京成・北総鉄道・東武鉄道の電車が出ているプレートを載せたが、コレは同3路線が交差する 新鎌ケ谷駅 の駅前広場を東経140度の経線が通っており、そこに「東経140度線」のラインが描かれていることによる。

新鎌ケ谷駅駅前広場に描かれた東経140度子午線。北側からの南向きの眺めで、高架線は手前が北総鉄道、奥が新京成線。
135度と140度の地球の自転における時間差は20分。地球一周の1/72である。この2点を説明した山陽電鉄人丸前駅のプレートは日本列島の大きさを実感するには良い対比の展示だと思う。
なお、とりあえず駅構内的には、北総鉄道の駅ナカを彷徨い探したが経線に関する展示はなかった。新京成線と東武野田線の駅ナカは未確認。

■滋賀県・大津駅
この際だから、関西にある緯線のモニュメントも紹介しておこう。
緯線とは地球儀に例えるとヨコの線だが、その北緯35度線がJR東海道本線 大津駅を通っている。これを広く知ってもらうために1989年7月1日に大津駅1・2番線ホームの京都寄りに「北緯35度線と大津駅」というモニュメントが設置された。

JR東海道本線大津駅の京都寄りに立つ「北緯35度線と大津駅」のモニュメント(右端の球体)。電車はJR221系+223系使用のA普通。
「北緯35度線と大津駅」のモニュメントの説明板。
大津駅はこの他に、北口(びわこ口)ラッチ内スグのトコロに北緯35度を示す壁紙が貼られている。

西側の壁紙。
東側の壁紙。

ここに掲載の内容はアップ日時点の情報になります。その後に状況の変化や、変更があった場合にはご容赦ください。

[寄稿者プロフィール]
秋本敏行: のりものカメラマン
1959年生まれ。鉄道ダイヤ情報〔弘済出版社(当時)〕の1981年冬号から1988年までカメラマン・チームの一員として参加。1983年の季刊化や1987年の月刊化にも関わる。その後に旧車系の自動車雑誌やバイク雑誌の編集長などを経て、2012年よりフリー。最近の著書にKindle版『ヒマラヤの先を目指した遥かなる路線バスの旅』〔三共グラフィック〕などがある。日本国内の鉄道・軌道の旅客営業路線全線を完乗している。