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[場所]JR大村線 千綿駅
大村湾の海岸線にある千綿駅は、青春18きっぷ2014年冬のポスターに起用されたほどの、プラットホームから大村湾を一望できる夕陽の絶景スポットとして有名な海近駅だ。ただし九州…というか長崎県内には「日本一海に近い駅」といわれる駅が別にあるので、タイトルでは「JR九州一海に近い駅」とさせていただいた。
というわけで、自ら“日本一”は名乗らない、そんなしおらしいトコロに好感が持てたのと、海からどのくらいのポジションに駅が位置しているのかを検証するべく、千綿駅を訪ねてみた。
千綿駅は、上述の通り海を望める夕陽の絶景スポットとして有名なのは、当サイトの読者の皆さんはもぅご存知とは思うが、駅舎も注目ポイントになっている。
それでは北側(早岐方)から時計回りにグルリと駅舎を眺めていこう。
千綿駅駅舎は木造で年季がかなり入っているように見える。実際1928年(昭和3年)の築造で、1993年に改築されている。とまぁ、戦前の駅舎を平成5年になって「改築されて…」のようにサラッと書くと、読んだ人は「レトロなのは…古いんだから、そうだよな」程度の感想で納得してしまうかも知れない。でも改築当時の頃にこのレトロスタイルを再現しているってスゴイことだったりするのだ。
この駅舎は元々地平に建っていたのだけど、その改築時に階段5段分嵩上げしている。で、おそらくであるが、当時の工法と立地を鑑みると駅舎を一旦解体して撤去し、嵩上げした新基礎ができてからその上に解体パーツを極力流用して元の造作通りに組み直したと推定できる。
ということでその何がスゴイのかと言うと、平成5年当時にこの規模の駅舎を基礎から造り直すなら多分おそらく上物も新築していたハズ。ナゼならそれの方が総工費は安いハズだからだ。それなのに再築を選んだということは、当時としてはスゴイ決断だったということ。結果としてレトロな駅舎と、夕陽が絶景の駅として、ネット時代の現代において、多方面から注目され、知れわたることになったのは、先見の明があったということになるのだろう。
駅舎のレトロ感が令和時代に受け継がれているのは先人の洞察があったからこそ…なのが解っていただけたと思う。
さて、個人的にはあまり関わりたくないのだが、この際だからネタとして海⇔駅との近さ選手権にも触れてしまおう。
それにはまず「陸と海の境界」の定義から話しをせねばなるまい。このことは折しも、かなり以前の2017年5月17日アップ「JR四国で一番海に近い駅どっち」の記事中で記しているので、一部を抜粋加筆して再掲載しよう。
「下灘駅の防潮堤と安和駅の浜堤からの距離をくらべると…グーグルマップで見る限り海岸線までは航空写真においては下灘駅は約40mで安和駅は約50m。だが、ここで考慮したいのは海には干満があるという点。満潮時に、下灘駅は上記と変わらずの約40mだが、安和駅は20m程になる。
では、我が国海上保安庁における『陸と海の境界』の定義の一部を抜粋して紹介しよう。
『日本の海図では、海面が満潮時の『最高水面』と呼ばれる海岸線を、陸と海との境界と決めております。『最高水面』というのは、その場所において年間を通じて、満潮の高さや時間を観測した結果、もうこれ以上には(平穏時において)海水が上がってこないであろうと考えられる海面のことです。』
ということは、『海岸線』としては、安和駅はやはり海から20m程の距離にあることになる。』
どこからが海か、という見解は人によりマチマチであろうから、『四国で海に一番近い駅』の結論はここでは出さないでおこう。決めるのはアナタしだいです。」
■九州一海に近い駅は…
日本一はさておき、九州で海に一番近い駅としては、島原鉄道 大三東(おおみさき)駅が挙がってこよう。
ところで筆者はデジカメ化以後に撮った大三東駅の写真がない。ところが丁度島原鉄道HP内の企画乗車券のプラン紹介に大三東駅の写真を見つけたのでURLを載せておこう。どんな駅か気になった方は下のURLをクリックしていただきたい。
https://www.shimatetsu.co.jp/infos/detail/?id=388
そして千綿駅を海側から遠望した防潮堤が下の写真。
同県内なので、あまり比べたくないのだが、千綿駅と大三東駅を眺めた場合、海の定義は上記の通りなので護岸までということで互角だが、駅の位置の定義として、プラットホーム基準なら大三東駅に軍配が上がるが、線路もしくは駅舎的には千綿駅の方が近いと推定できる。
なお一応、大三東駅は駅案内板では「日本一海に近い駅といわれる」となっていて、自らは“日本一”を名乗っていないことを島原鉄道の名誉のために申し添えておく。
■千綿駅舎がカレー屋さんに!?
千綿駅に筆者は午前の早い時間に着きすぎてしまったため、確認をしていないのだが、千綿駅舎が「千綿食堂」なるランチタイム営業をしているらしい。筆者が確認していないので、それ以上は記事にしないが、食べログなどに出ているので、参考にしていただけたら幸いだ。
キハ66・67間もなく見納めか!?
キハ66・67が2021年6月30日(水)をもって引退することがJR九州から発表された。
それもあって本記事のタイトルにこのキハ66系を使用した。コレは目立つため(笑)もあって端から予定はしていたのだが、キハ66系6月引退後の7月以降のアップになると過古写真を使った記事と思われる懸念もあるから慌ててアップした次第だ(汗)。
ちなみに撮影日は2021年1月で、それほど古い写真ではない。そして撮影した日にはキハ200系もいたが2021年3月11日に大村線ラストランが運行され、アップ日時点ではすでに走ってない。ということで、写真5枚上にキハ200系が登場しているがコレは過去の記録ということになる。
それでは、せっかくだから同日に大村線で撮ったキハ66系の写真も載せてしまおう。
キハ200系ラストランの時は単に大村線での「お見送り」だったが、キハ66系ラストランは本当の形式消滅になると考えられる。なので引退間近になると想定外の混乱が起る可能性も否定できないので、スッキリした写真が撮りたいならば、早い時期の撮影をお勧めしたい。
ここに掲載の内容はアップ日時点の情報になります。その後に状況の変化や、変更があった場合にはご容赦ください。
[寄稿者プロフィール]
秋本敏行: のりものカメラマン
1959年生まれ。鉄道ダイヤ情報〔弘済出版社(当時)〕の1981年冬号から1988年までカメラマン・チームの一員として参加。1983年の季刊化や1987年の月刊化にも関わる。その後に旧車系の自動車雑誌やバイク雑誌の編集長などを経て、2012年よりフリー。最近の著書にKindle版『ヒマラヤの先を目指した遥かなる路線バスの旅』〔三共グラフィック〕などがある。日本国内の鉄道・軌道の旅客営業路線全線を完乗している。