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[場所]神戸市営地下鉄海岸線 和田岬-御崎公園
兵庫県神戸市内には地下を走る鉄道線がいろいろあるが、神戸市営地下鉄はその中で、西神延長線・西神線・山手線・北神線の架線集電標準軌粘着方式グループ(1系統で運行されているが)と海岸線の架線集電標準軌鉄輪式リニア方式グループ(1線だけだが)2種類の駆動方式の路線を保有しているのはご存知と思う。
このうち、架線集電粘着方式グループは地平に車両基地があるので、車輛搬入がどこからなされるのかは一目瞭然だろう。ところで、架線集電リニア方式グループの海岸線は車両基地が地平にないのはおろか、線路が地上にでる所もない。
では、架線集電リニア方式の車輛はドコから搬入するのか。気になっている人がいるのではないだろうか。
海岸線の車両基地は和田岬駅-御崎公園駅の間にある。場所的には神戸市御崎公園球技場(ノエビアスタジアム神戸)の東に位置する御崎公園の下になる。
謎に迫るべく御崎公園を訪ねてみると、そこはグリーンの芝生が広がる物静かな緑地で、地上からはこの下に地下鉄の車両基地があるなんて、とても想像できない雰囲気になっている。しいて挙げれば、南側の大通り沿いに神戸市バス駐車場があるので、神戸市交通局絡みの場所ということが解る程度だ。
神戸市御崎公園球技場の東脇には、「地下鉄車輛はどこから入れる!?」シリーズ2019年6月15日アップ「大阪メトロ篇」で紹介した大阪メトロ長堀鶴見緑地線横堤駅東約600m地点にある斜坑に似た地下出入口があるが、こちら御崎公園の斜坑の天井はたとえミニ地下鉄の車輛といえども、とてもではないが通れる高さではない。
上写真がソレだが、まぁ見ての通りコレは公園球技場の駐車場の出口に他ならない。
では海岸線の車輛搬出入口はドコにあるのか?
上写真で中央の神戸市バスが停まっている向こうに何か風変わりな形の建造物が窺えるのに目が留った方が居るのではないだろうか。筆者もその一人で、というわけで早速南側(上写真では右)にある大通りを回って、件の建物の近くまで行ってみた。
近づいて撮ったのが上の写真だが、なんと建造物が2つあるので、どちらが車輛搬出入口なのか、次なる謎が浮かび上がってきた。
そこで頼るのがグーグルマップで、航空写真により建物の奥行を測ってみた。右が約24m、左が約20m。また右の建物にはバックスペースがないのが確認できたため、車輛搬出入口は左の建物であろうということに結論付けた。
なお、電車の搬入ルートに関しては、製造所が川崎重工業なので、ほぼ想像できるだろう。
はてこうなると、右の建物は何であろうか。さらなる謎が湧いてきたが、日常的に普段眺められる位置での観察はココまでなので、これ以上は調べようがない。なので、口惜しいがこのネタはコレにて締めさせていただく。
ココまできたら眺めておきたいモノがまだある
御崎公園まで来たら、電車好きなら見ておきたいモノがまだまだある。
その一つが御崎公園の北西方に保存展示されている「神戸市電1103号車」で、いわゆる神戸市交通局1100形1103号。この電車は1971年3月の神戸市電廃止後に広島電鉄に移譲され活躍していたが、老朽化による廃車を機に、2003年3月に神戸へ里帰り。御崎公園に展示された。
里帰り後、2018年~2019年にかけて片側の前頭だけが原型に近いスタイルに復元されている。
諸元など詳細は下の説明板を読んでいただきたくお願いする。
もう一つは、海岸線御崎公園駅北方600mくらいの場所にあるJR和田岬線 兵庫-和田岬 間の兵庫運河に架かる「和田旋回橋」が挙げられよう。
元・鉄道可動橋でいまは動くことはないが、鉄道橋梁としては現役な点が見どころといえる。
そして近年、このJR和田岬線は、いまとなっては稀少なスカイブルー(青22号)の103系、それも低運転台車が活躍する線区として注目を集めている。ただし検査などの場合は207系が代走するので、出会いには運も必要だ。
ここに掲載の内容はアップ日時点の情報になります。その後に状況の変化や、変更があった場合にはご容赦ください。
[寄稿者プロフィール]
秋本敏行: のりものカメラマン
1959年生まれ。鉄道ダイヤ情報〔弘済出版社(当時)〕の1981年冬号から1988年までカメラマン・チームの一員として参加。1983年の季刊化や1987年の月刊化にも関わる。その後に旧車系の自動車雑誌やバイク雑誌の編集長などを経て、2012年よりフリー。最近の著書にKindle版『ヒマラヤの先を目指した遥かなる路線バスの旅』〔三共グラフィック〕などがある。日本国内の鉄道・軌道の旅客営業路線全線を完乗している。