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[場所]京阪電鉄京阪本線 淀屋橋-出町柳・中之島線
通勤型電車の多扉車は、首都圏では2020年3月に消滅したが、関西圏では引退を間近に控え最期の力走をする車輛がいる。それは京阪5000系で、なんとこの電車、1970年~に竣工と首都圏に居た多扉車より早い時期に登場しているのだ。
ある意味元祖多扉車の5000系が、その車輛タイプのラストを飾ることになるというのも面白い。
そんなわけで、首都圏ではもう見れない多扉車を、京阪本線へ訪ねてきた。
京阪5000系多扉車が開発された経緯は、もちろん乗降時間短縮を目的としているが、ではナゼ京阪本線に多扉車が必要だったのかというと、当時の京阪本線は架線電圧が600Vで、そのため編成が最大7両までに抑えられていて、編成両数を増やして混雑に対応することができなかった。そこで開発新造されたのが5扉車の5000系になる。大まかに説明してるので、もっと詳細を知りたい方は、他サイトを参照していただけると有りがたい(笑)。
50年前のそのような事情で誕生した時代の寵児、特殊なドア配置の京阪5000系多扉車は、ホームドアの設置という時代が要求する変化、世間の趨勢にはやはり追従できなくなるのも仕方のないことなのだろう。
京阪電鉄では2017年3月30日付ニュースリリース「ホームドアの整備…」において2020年度を目途に「5扉車両の3扉車両への置き換え」を発表している。なので、1959年が製造初年の2600系0番台(元2000系)よりも約10年も若い5000系が先に引退するということが起きてしまうのだ。
なお京阪5000系は、首都圏の多扉車と異なり、編成すべてが多扉車であり、側面2・4枚目のドアを締切扱い(この機能は東武20050型と東京メトロ03系5扉車にも備わっていた)として、扉上部に収納している座席を下降させてシートとする座席昇降機構が備わっている特長がある。
では、そんな京阪5000系のシートがどんな配置なのか、平日朝ラッシュ時と、それ以外の時間の車内などを眺めていこう。
とりあえず撮れた京阪5000系編成の写真を載せておこう
アップ日時点で京阪5000系は4編成が現存している。2020年3月中旬に沿線で5000系狙いで撮影したところ、そのうちの3編成を撮ることができたので、その姿をここで掲載しておこう。
京阪5000系の引退時期の正式発表はまだないが、京橋駅のホームドア整備と関連しているのは確かなので、設置工事開始時期近辺が「その時」になると予想できる。気になる方は、京阪本線のこれからのホームドア関連の駅掲示やニュースリリースを逐一チェックが必要かも知れない。
ここに掲載の内容はアップ日時点の情報になります。その後に状況の変化や、変更があった場合にはご容赦ください。
[寄稿者プロフィール]
秋本敏行: のりものカメラマン
1959年生まれ。鉄道ダイヤ情報〔弘済出版社(当時)〕の1981年冬号から1988年までカメラマン・チームの一員として参加。1983年の季刊化や1987年の月刊化にも関わる。その後に旧車系の自動車雑誌やバイク雑誌の編集長などを経て、2012年よりフリー。最近の著書にKindle版『ヒマラヤの先を目指した遥かなる路線バスの旅』〔三共グラフィック〕などがある。日本国内の鉄道・軌道の旅客営業路線全線を完乗している。