道路の真ん中に敷設した複線を高床電車が4連で堂々と走る街

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[場所]京阪電鉄京津線 びわ湖浜大津-上栄町

鉄道好きの中には、家の前の道を電車がゴロゴロと走ってきたら楽しいのに…なんて夢を抱いたことがある人は多いのではないだろうか。まあ似たようなメッセージを2016年5月3日アップ「江ノ電の路側軌道」の記事中でも書いたが、この回で紹介する区間は、なんと軌道敷が複線になっている。
場所は京阪電鉄京津線 びわ湖浜大津-上栄町になる。
まずは、 びわ湖浜大津 側より併用軌道を、西側ペデストリアンデッキ(跨線道路横断歩道橋)上から見ていこう。

びわ湖浜大津駅西側のペデストリアンデッキ上からの南向きの光景で、交差点名は「浜大津駅前」。ココから写真奥へ延びていく線路が京津線で、蹴上方。電車は発車してゆく800系816F新塗装。ちなみにタイトル写真も同地点からの撮影で電車は到着する800系813F旧塗装車(現在新塗装化)。
浜大津駅前交差点を左右に横切っているのが石山坂本線で、電車は700形707F新塗装シティコミューター色。800系も含めカラーリングは京阪本線と同じ「シティ・コミューター」を名乗っているが、上半のレストグリーンとフレッシュグリーンは同じでも、下半はアトモス・ホワイトで、本線系とはチョット違う。

びわ湖浜大津駅には急曲線で進入

上写真で びわ湖浜大津駅西側の配線が一目瞭然だが、京津線側が急曲線で、直線の石山坂本線に合流するスタイルになっている。

京津線びわ湖浜大津駅へ蹴上方から進入する800系813F旧塗装車(現在新塗装化)。カラーはパステルブルーメインに灰白(グレー)で、苅安色(イエロー)の帯。
びわ湖浜大津駅から発車してゆく800系813F旧塗装車(現在新塗装化)。路面に黄色で車両限界が示されているのが解る。
ここは2018年3月5日アップ「京津線電車が京都で併用軌道を走っていた昔日を慕べる区間」の文中で、その時の主題である石山坂本線 浜大津(当時)-三井寺 間以外に、この区間にもサラリと触れている。なので、それを一部修正の上の再録で、この界隈の歴史や詳細に代えさせていただく。
「京阪電鉄京津線の併用軌道というと、現在では びわ湖浜大津駅から約600mほどの区間のイメージしかないが、1997年10月12日に京津線電車が京都市営地下鉄東西線へ御陵駅から乗り入れを開始する以前は京津三条(現・三条京阪)-京阪山科 間も軌道が地上に敷設されていて 、その途中には併用軌道も存在しており、高床・ステップなしの電車も活躍していた。このことは、地下鉄へ乗り入れを開始したのが平成の世になった近年のため、知っている方は多いだろう。さて、そんな京都市内にかつて存在した高床の電車が走る併用軌道区間だが、当然ながら現在は京都市内では見ることができない。
ところで上記の京津線びわ湖浜大津駅から約600mほどの併用軌道だが、京都市営地下鉄東西線にも乗り入れる電車の800系高床16.5m車×4連が道路の真ん中の複線併用軌道をゴロゴロと走っており、これが同線の名物にもなっていて世間に知れ渡っている。」
では、地平に降りて両併用軌道の合流部分を眺めていう。

浜大津駅前交差点を曲がる800系で、16.5m×4連の長さはこのくらい。電車は801F。
上写真の連続撮影で、軌道が直線からカーブに掛かる間に反向曲線の小さいのが入っているのが窺える。
京津線を蹴上方より びわ湖浜大津 駅へ走りくる800系801F。上栄町から びわ湖浜大津に向かって下り坂になっているのが解る。なお、軌道が敷設されている通りは「西近江路」国道161号旧道(途中まで旧東海道・北国街道と重複)で、国道161号西大津バイパスができるまでは、クルマの交通量がかなりあったことが想像できる。
浜大津駅前交差点手前の反向曲線に掛かると車輛が一瞬主カーブと反対を向く。電車は800系803F。
そして電車は主カーブを大胆に曲がってゆく。

上栄町側なら800系を順光で見れる

京津線びわ湖浜大津-上栄町間の併用軌道部分はほぼ南北に敷設されているので、季節と場所にもよるが、上栄町側ではだいたい11時~14時くらいに電車の蹴上方前面を順光で見ることができる。晴れた日に800系旧塗装を撮るなら、こちら側の方が良さそうだ。

上栄町側から びわ湖浜大津(北)向きに望遠レンズで眺めると、かなりの勾配を登っているのが解る。電車は800系813F(現在新塗装化)。
上写真との連続撮影で、軌道はココより左にカーブを切って上栄町駅へと進入する。併用軌道外の安全地帯からの撮影。
西近江路の下り坂を びわ湖浜大津へ向けて走る800系。このカラーリングはまもなく見納め。電車は803F。
京津線で運用している800系のカラーリングを2021年3月完了予定で京阪本線系の一般車と統一したイメージの「シティ・コミューター色」への塗り替えが進められているのは既報通りで、パステルブルーメインの3トーンカラー旧塗装が見られるのもあと1年を切った。というか、アップ日時点で旧塗装の車輛はあと2編成になっており、 運用的にはラスト2編成めの塗り替えが完了するまでの、実質秋口(?)くらいには見納めではないかと思う。

■2021年2月1日筆者追記:2020年11月10日(火)をもって800系旧塗装車での運転を完了いたしました。

ここに掲載の内容はアップ日時点の情報になります。その後に状況の変化や、変更があった場合にはご容赦ください。

[寄稿者プロフィール]
秋本敏行: のりものカメラマン
1959年生まれ。鉄道ダイヤ情報〔弘済出版社(当時)〕の1981年冬号から1988年までカメラマン・チームの一員として参加。1983年の季刊化や1987年の月刊化にも関わる。その後に旧車系の自動車雑誌やバイク雑誌の編集長などを経て、2012年よりフリー。最近の著書にKindle版『ヒマラヤの先を目指した遥かなる路線バスの旅』〔三共グラフィック〕などがある。日本国内の鉄道・軌道の旅客営業路線全線を完乗している。