民鉄における検車区などの一般公開イベントで軌陸車を眺める

おうちで車輛基地公開フェスティバル

[場所]小田急電鉄海老名検車区・西武鉄道南入曽車両基地+α

毎年初夏になると車輛基地などを一般開放するイベントが各地の電鉄会社で開催されるが、ことしは新型コロナウイルス拡散防止のため、軒並み中止か延期になってしまった。
そんなご時世なので、昨年にあったイベントの写真を並べて「エア車輛基地開放イベント」をココで試みようとしたのだが、ありきたりの車輛の掲載じゃ当サイトらしくない(笑)と思っているうち、ナゼか軌陸車の紹介へと考え至った。
軌陸車とは線路と道路の両方を走れる保守用車だということを知っている方は多いだろう。だが間近で、しかも線路の上に乗っかっている姿を見たことがある人は少ないのではないだろうか。
さて、そんな軌陸車がそれも線路の上にいる状態で、昨年に訪れた車輛基地公開イベントのうちの2ヶ所にて展示されていたので、お見せしていこう。

小田急ファミリー鉄道展2019

小田急の海老名検車区などで2019年5月25日(土)~26日(日)に「小田急ファミリー鉄道展2019」が開催され、電車の基地も一般公開された。

2019年5月に海老名検車区で一般公開された3000形SE(左)と70000形GSE(右)。なお、左のSEの反対側3両はSSE仕様のママ。
このイベントの展示車輛の主役は3000形SEだった(←個人の感想です)が、車庫の片隅の線路上には大野電気システム管理所所属の軌陸車が3両展示されていた。

車庫内の電留線に並ぶ3両の軌陸車。手前はRKT-H1タワー車で、いすゞELFベースのハイブリッド車。
RKT-H1のサイドビュー。車体中央下に転車台を備えているのが解る。
RKT-H1のリアビュー。上のカゴがリフトアップされ、架線の保守点検などをする。
RKT-H1の右前輪のアップ。鉄輪は前輪駆動なのが解る。
RKT-H1の左前輪のアップ。鉄輪の内側にディスクブレーキを備えている。
RKT-H1の左後輪のアップ。付随車輪で、だからかブレーキディスクを鉄輪外側に装着。
2番めにいたRKT-02タワー車。こちらも、いすゞELFベース。
RKT-02のリアビュー。後部に梯子が付いている。
RKT-02の左前輪のアップ。やはり前輪駆動で、ブレーキディスクを内側に備える。
RKT-02の左後輪のアップ。付随車輪ながらブレーキディスクは内側に備えている。
3番めにいたDKD-1延線巻取車もいすゞELFベース。タワー車と組んで架線張替えや古いトロリ線の巻取りを行う保守用車。
DKD-1はかなり撮影しずらい位置に停まっていた。
記事の反省になるが、3台めの延線巻取車のリア側の写真を撮っていない(汗)。というわけで、どんな設備をそなえているのか謎のままである。お許しあれ(謝)。

西武トレインフェスティバル2019in南入曽

西武鉄道南入曽車両基地で2019年10月5日(土)に「西武トレインフェスティバル2019in南入曽」が開催され、車輛基地を一般公開した。

2019年10月に南入曽車両基地に展示された車輛で、左から001系Laview、10000系NRA、40000系、20000系。
このイベントの主役は鉄道車輛だが、会場内のアトラクションとして「軌陸車乗車体験」が催された。
使用した軌陸車は西武鉄道電気部の保守用車で、タワー車が充当されている。

軌陸車乗車体験の受付。1日8回あるが、1回の乗車人員が「1~3名」とは…。
軌陸車乗車体験に使用されたタワー車で、いすゞELFベース。カゴが微妙にリフトアップしている!?
タワー車のリアビュー。後ろの西武鉄道旧シンボルマークが懐かしい。
軌陸車への乗車は抽選で、午前・午後合わせて8回行われ、車庫内の線路約100mを閉鎖して往復した。乗車体験に乗車できる人員は1~3名とかなり少ない。
多勢の入場者の中から、乗れるのが一日で20数人とは、かなりのレア体験と言えるだろう。
筆者は会場にオープンからいたわけではないので、もしやっていたら申し訳ないと前置きして記させていただくと、軌陸車の 道路⇔線路 に移す実演もあったら皆が楽しめたのでは、と思った。

軌陸車のレンタカー!?

2年前の話になるが、家の近所で道路を走行中の軌陸車を目撃した。それが下の写真になる。

家の近所の交差点で信号待ちをしていたら、たまたま目の前に現れた軌陸車。駆動方式はタイヤから摩擦車を介して鉄輪を回すタイプ。そして驚いたのは大手建機レンタル会社の名称がドアに記されていたこと。レンタカー!? もぅ目が点。
なんと軌陸車のレンタカーがあるのだ。これはある意味、鉄道or軌道を走れる車輛(実際は機械扱い)が借りられるわけで、抱いてはいけない良からぬ夢が広がる。←内容は伏せるが、あくまで妄想です。

ここに掲載の内容はアップ日時点の情報になります。その後に状況の変化や、変更があった場合にはご容赦ください。

[寄稿者プロフィール]
秋本敏行: のりものカメラマン
1959年生まれ。鉄道ダイヤ情報〔弘済出版社(当時)〕の1981年冬号から1988年までカメラマン・チームの一員として参加。1983年の季刊化や1987年の月刊化にも関わる。その後に旧車系の自動車雑誌やバイク雑誌の編集長などを経て、2012年よりフリー。最近の著書にKindle版『ヒマラヤの先を目指した遥かなる路線バスの旅』〔三共グラフィック〕などがある。日本国内の鉄道・軌道の旅客営業路線全線を完乗している。