富山地鉄軌道線⇔富山港線南北接続後の運行形態など

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[場所]富山市内軌道線 富山駅など

富山地方鉄道市内軌道線と富山ライトレール(富山港線)の線路が富山駅で南北接続され、2020年3月21日から直通運転を開始する。これに先立ち2020年(令和2年)2月22日に富山地方鉄道株式会社へ富山ライトレール株式会社が吸収合併されたのと、さらに直通運転開始1ヶ月前という丁度よいタイミングを迎えたので、その運行形態をお伝えしよう。

富山駅へ南方富山地鉄市内軌道線側から進入するデ7000形7023。2020年3月21日以後、この軌道に富山港線(富山ライトレール)TLR0600形が走ることになる。ちなみにタイトル写真の左も同車輛で、右はデ8000形8002。南北接続工事開始前の撮影。
富山ライトレール(富山港線)岩瀬浜駅に停車するTLR0600形TLR0602F。2020年3月21日以後には全電車が富山駅より南側へ直通するので、この行先の「富山駅北」は見られなくなる。
なお、記事内で使用の図表類は、2019年10月1日に開催された 富山市、富山地方鉄道株式会社、富山ライトレール株式会社共同記者会見「路面電車南北接続の開業日並びに開業後の運行形態や運賃等について」 の資料からの転載になる。

富山港線(ライトレール)の全電車が南側軌道区間へ乗り入れ

富山駅での南北接続後の路線図は、富山港線側が「岩瀬浜」方面1本なのに対し、市内軌道線側が「南富山駅前」「大学前」「環状線」の3方面あるのは下のネットワーク図を見て解るだろう。

左が2020年3月20日以前の運行形態、右が2020年3月21日からの運行形態。
南側市内軌道線には電車が各方面との間に高頻度運行されているが、これに対し北側岩瀬浜方面の富山港線の運転本数は日中4本(平日ピークは6本)なので、富山港線の電車は全て軌道線区間へ乗り入れるが、市内線の路面電車は、かなりの本数が「富山駅」で折り返す運行形態になる。
では、南北接続後の各系統ごとに、運行形態の図を見ていこう。

1系統(浅緑色)・4系統(深緑色) 南富山駅前⇔富山駅 間は従来通りの運行で、このうち平日ピーク1時間3本、平日昼間~夕方1時間1本が富山港線と直通運転する。
2系統(オレンジ色)・5系統(赤色) 大学前→富山駅→南富山駅前・大学前←富山駅←南富山駅前 間は従来ダイヤから 富山駅⇔大学前 間平日ピーク1時間3本、平日昼間~夕方1時間1本が富山港線と直通運転するので、南富山駅前⇔富山駅 間は平日ピーク1時間12本→9本、平日昼間1時間6本→5本になる。
環状線系統の3系統(水色)は平日昼間~夕方に6系統(紺色)の南北直通も運転される。乗り継ぎの追加として 丸の内停留所(富山駅から左3コめ)では「大学前方面と岩瀬浜方面との乗り継ぎ」が、中町西町北(富山駅から右6コめ)では「岩瀬浜方面から環状線を経由して南富山駅前方面への乗り継ぎ」と「南富山駅前方面から岩瀬浜方面(環状線から直通)への乗り継ぎが可能となる。
上3つの系統図の右下にある運行イメージを結合して見ると 岩瀬浜-富山駅 間には、平日ピークで1時間あたり6本、平日昼間~夕方は1時間あたり4本の電車が設定されているのが読み解ける。
主な駅(停留場)から各方面への平日の始発・終電の時刻も載せておこう。

岩瀬浜駅絡みの発着電車は始発から終電まで全て直通運転なのが見て取れる。なお、コロナ禍の影響により時刻が変更になる場合もありえます。

南北接続後は直通区間均一運賃になる

2020年(令和2年)2月22日の富山ライトレールの富山地方鉄道への会社吸収合併を経て、2月3日に国土交通大臣宛の「鉄道・軌道事業の上限運賃改定申請書」を北陸信越運輸局へ提出したのが下表の料金になる。

ICカードシステムは、富山地方鉄道の「えこまいか」と富山ライトレールの「パスカ」があるが、システムの統合を進めており「南北接続開業日には統合いたします。」とのことで、統合後も「えこまいか」「パスカ」ともにそのまま同様に利用できるそうだ。
定期券は、南北接続後もお手持ちの「富山軌道線定期券」と「ポートラム定期券」はそのまま直通全区間で利用できる。なお、南北接続前に購入した定期券は期間満了までそのまま利用できるが、南北接続後に減額となる定期券(富山軌道線定期)は3月21日以降に、日割り計算の上、無手数料にて払い戻しもしてくれるとのこと。ちなみに、定期券については更新の際に順次「えこまいか」に切り替わる。
見ての通り、直通区間均一運賃を採用するので、従来富山ライトレール(富山港線)と市内軌道線から別々に収受していた運賃が一体化される。なので、両線をまたいで乗っていた利用者からすればお得になった。これは「旅客の利用促進を図るため…。」の施策の一つでもある。

ここに掲載の内容はアップ日時点の情報になります。その後に状況の変化や、変更があった場合にはご容赦ください。そして、運賃関係に関しては、まだ申請中の段階であることを申し添えておきます。

[寄稿者プロフィール]
秋本敏行: のりものカメラマン
1959年生まれ。鉄道ダイヤ情報〔弘済出版社(当時)〕の1981年冬号から1988年までカメラマン・チームの一員として参加。1983年の季刊化や1987年の月刊化にも関わる。その後に旧車系の自動車雑誌やバイク雑誌の編集長などを経て、2012年よりフリー。最近の著書にKindle版『ヒマラヤの先を目指した遥かなる路線バスの旅』〔三共グラフィック〕などがある。日本国内の鉄道・軌道の旅客営業路線全線を完乗している。