鉄道が主役の旅スタイルを応援する見どころ案内
[場所]京都丹後鉄道宮豊線 与謝野駅南南西約7.5km
前回2020年1月23日アップの「加悦SL広場」の記事の続きになる。
この加悦SL広場といえば、展示車輛数が多いのは既報の通りで、そのため記事は3部に分けての構成とさせていただいて、「中篇」では動力車を中心に掲載したが、「後篇」では客車・貨車をメインに進めていこう。
明治の木造客車に普通に土足で立ち入れる
明治時代に製造された保存客車というと、外観しか見れないとかのイメージがあるが、なんとココ加悦SL広場に保存されている明治時代の客車には普通に車内に入れてしまうという寛大な展示方法がなされている。それも土足で乗れてしまうから驚きモノ。
では、そんな客車たちから眺めていこう。
前回の「中篇」を見ていただだいている方なら判っていると思うが、ここには木造客車があと1 両保存されている。それは「フハ2」で、筆者が訪れた時にタマタマ工場(?)に入場していたため車輛全体を撮ることができなかった。
ということで、「フハ2」は本文で紹介。1916年(大正5年)に名古屋電車製作所(現・日本車輌)にて製造されたハ1形ハ2で、三重県の伊賀鉄道にいたが、1927年(昭和2年)に加悦鉄道が譲受した時にブレーキを付けたため「フ」を冠しフハ2になった。その後に一時期「ハブ2」を名乗っていたが、1991年の大修理でまた「フハ2」になった。車内はロングシート。
貨車は何げに古くない!?
保存貨車は、木造だったりと年季は入っているが、客車とくらべるとそれほど古くない。とはいえ、客車たちがあまりにも古典すぎるのでそう見えるだけで、令和の世となった現在ではそれなりに貴重な車輛であることに変わりはない。
場内周遊ミニ列車が転車台を通る
加悦SL広場には、保存展示車輛以外にも見所はある。中には場内を周遊するミニ列車も走っていて客車に乗ることができる。なので、ガチの鉄道好きでなくても、家族連れで遊園地のように訪れることもできるので、京都府の日本海側に旅する機会があったら、ぜひルートに入れていただきたい場所だ。
なお、施設内のカフェや売店は2018年末で閉店しているので、食料は事前に調達しておきたい。
開館時間 10:00~17:00
火曜・水曜・木曜は定休(祝日の場合は開館)※年末年始は別途
入場料 中学生以上 400円
小学生 200円
小学校入学前の小児は無料
ここからは報道発表への筆者個人の希望的ヨミになるが、京都新聞デジタル版2019年12月23日の記事+12月24日アップの「NPO法人加悦鐵道保存会」理事長氏のコメントを加味して読み解くと「加悦SL広場、20年3月閉園『検討』」と、あくまで2020年3月に「検討」なので、すぐさま廃園はないのでは、とは思っている(ヨミを外した時にはゴメンナサイ!!)。ただし、3月に「休園時期発表」や「一般公開中止」など将来に向けて何かしらのアクションがあることは想像できる。ココの車輛群に興味がある方は、その決定に動揺しないためにも、なるべく早い訪問をお勧めしたい。
ここに掲載の内容はアップ日時点の情報になります。その後に状況の変化や、変更があった場合にはご容赦ください。
筆者追記:加悦SL広場は2020年2月17日に宮津海陸運輸株式会社より「2020年3月31日をもちまして閉園することを決定いたしました。」の発表がありました。ヨミを外したことをお詫びいたします。
[寄稿者プロフィール]
秋本敏行: のりものカメラマン
1959年生まれ。鉄道ダイヤ情報〔弘済出版社(当時)〕の1981年冬号から1988年までカメラマン・チームの一員として参加。1983年の季刊化や1987年の月刊化にも関わる。その後に旧車系の自動車雑誌やバイク雑誌の編集長などを経て、2012年よりフリー。最近の著書にKindle版『ヒマラヤの先を目指した遥かなる路線バスの旅』〔三共グラフィック〕などがある。日本国内の鉄道・軌道の旅客営業路線全線を完乗している。