加悦SL広場が2020年3月閉園検討?で緊急寄稿(前篇)

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[場所]京都丹後鉄道宮豊線 与謝野駅南南西約7.5km

加悦SL広場といえば、京都府の日本海側にある国内有数の鉄道保存展示施設としてご存知の方は多いだろう。この施設は元々、元・加悦鉄道加悦駅構内にあったが、1996年11月に現在の 大江山鉱山駅跡 に移転した。その展示車輛数は27両を数え、中には国の重要文化財に指定されているSLも居る施設となっている。
ただし位置的に行きづらい場所にあるので、行く切っ掛けをナカナカ作れない人は多いと思う。

加悦SL広場の有料入場エリアへの入り口に建つ旧・加悦鐵道加悦駅舎を模したレプリカ建物。入場口としてはもちろん、資料展示室としても使用されている。
なので、2016年4月29日に京都鉄道博物館が開館したのを好機として、それ以後は同じ京都府ということもあり、来館者も増えているのだろう? と、筆者は勝手に思っていた。そんな折、京都新聞デジタル版2019年12月23日アップの記事によって「加悦SL広場、20年3月閉園検討」を知った。この報道はまさかの寝耳に水だったので、自分も何か書かねばと思い、加悦SL広場の特集記事を、3年半前に撮った写真を使って、急遽書いてみることにした。
加悦SL広場は展示車輛数が多いので、アップは3部に分けての構成として、「前篇」では鉄道駅からバスでの行き方と、無料エリアの展示物を写真メインで紹介していこう。

乗り換え拠点はWILLER TRAINS与謝野駅

バス利用の場合の拠点、WILLERグループの京都丹後鉄道宮豊線「与謝野」駅。かつての国鉄&加悦鉄道時代は「丹後山田」を名乗っていた。車輛は左からKTR703+KTR702あかまつ、その奥の走りゆくのがKTR8000、右はKTR708あおまつ。
与謝野駅からは丹後海陸交通バス(※以後 丹海バス に略)路線番号「30」or「32」に乗車。ただ「32」の福知山発着は土日祝には運休するのが、なんとも…。なお写真は帰路に撮ったため方向幕の行き先表示は「天橋立ケーブル下」になっているが、往路では「与謝」になる。
旧加悦鐵道加悦駅舎に展示してあった線路平面図によって、加悦鉄道のルートを示しておこう。ちなみに左が北で、加悦SL広場がある「大江山鉱山駅跡」は右の 金屋 の少し右にある。
バスは途中で、加悦鉄道の廃線跡を何度も渡る。写真は旧「水戸谷」駅付近で、中央右がその駅跡。上地図では「上山田停留場」が同駅。
バスの車窓からは旧加悦鐵道加悦駅舎も見れる。2019年12月4日にC160SLが京都府京都市北区の大宮交通公園から里帰りして話題になった所で、そのSLは2020年春の公開を目指しているとのことだ。
ところで丹海バスの加悦SL広場への最寄り停留所は「SL広場西」で、筆者が利用した時には降車客が一番多かったバス停(与謝野駅-SL広場西 間が対象・なお乗客はSL広場西で全て降車)なのに、なんとSL広場の入口までは約400mも離れた場所にある。それも行きの道は上り坂で…、とまぁそこまでは許可された路線から外れられないという路線バスの宿命もあるのだろうと自身を納得させたが、途中に「ウイル」「加悦庁舎」といったバス停へ、メインルートからチョロチョロと脇道に入っていくのに、なぜココはこんなに離れている所にあって乗客を歩かせるのだろう、どうにかならんのかとの疑問は残った。まぁこれ以上この件には本文では触れまい。

加悦SL広場の駐車場ゲートを跨ぐように架かるオブジェ。それはそれとして、人を400m近くも暑い中(訪問が真夏のため)歩かせてくれた丹海バスの、回送がこのSL広場添いの道路をシナーっと走っているのを見て、目が点(もう笑うしかない)。

入場無料エリアにも保存車輛の一部が展示されている

加悦SL広場は、展示車輛は基本有料入場エリアに展示されているが、一部に無料エリアに置かれていたり、置き方から片側のみ観られる車輛があるので、まずはそれらと主要な説明板を紹介していこう。

加悦SL広場と道の駅を結ぶ歩道橋の途中に立つ「大江山鉱山駅跡」の説明板。
有料エリアのプレートになるが、「加悦鉄道の歴史と旧加悦鉄道車両群」の説明板を前篇で載せてしまおう。
日本最古の路面電車、京都電気鉄道(当時)のN電 No.5。2003年に宝塚ファミリーランドからやってきた。
キハ10 18は片面のみ無料エリアから眺められる。1980年に加悦鉄道にやってきて、晩年を過ごした車輛。
キハ10 18は有料エリアからはこの程度にしか見えないので、前篇で載せてしまった。ちなみに、右の車輛はタイトル写真になっている、かつての加悦鉄道の象徴ともいえるキハ08 3で、タイトルに写っている面のみ無料エリアから眺めることができる。詳細は次回に乞うご期待。
手前はサハ3104。1925年(大正14年)に藤永田造船所で製造された元東急電鉄デハ104で、1953年(昭和28年)にモータを取り外してサハ3104となっていたモノを1969年に加悦鉄道が譲受した車輛。
駐車場から丸見えのモハ1202。元南海1201形1202で、1995年に展示用として加悦SL広場にやってきた車輛。
駅舎レプリカの左前に置かれている松葉スポークの輪軸。車軸とボスはドイツ・グルップ社製、スポークとリムはドイツ・ファンデルチーベン社製、外輪は住友金属製、軌条は米国・カーネギー製。で、左の郵便受けがまともに写ってなくて、いまさらながら気になる。

実質有料施設だが、入場無料で見れる資料も少し存在

そんな展示への入場口は加悦駅舎のレプリカ内の有料入場エリア側にある。なおレプリカ駅舎は資料展示室も兼ねており、したがってその配置から、資料展示室へは入場料なしで立ち入ることができる。

駅舎レプリカの玄関を入るとこんな感じ。右が有料エリアへの入場口。
上写真中央やや右にあるショーケースの中のアップ。
入場口前からの玄関方の眺め。
2階にも展示スペースがある。
こちらも2階で、レールの展示スペース。

開館時間 10:00~17:00
火曜・水曜・木曜は定休(祝日の場合は開館)※年末年始は別途
入場料 中学生以上 400円
    小学生   200円
    小学校入学前の小児は無料

加悦SL広場と道の駅を結ぶ歩道橋の途中からは有料エリアの一部が望める。

次回はいよいよ中に入り、まずは動力車を紹介していく。

ここに掲載の内容はアップ日時点の情報になります。その後に状況の変化や、変更があった場合にはご容赦ください。

筆者追記:加悦SL広場は2020年2月17日に宮津海陸運輸株式会社より「2020年3月31日をもちまして閉園することを決定いたしました。」の発表がありました。

[寄稿者プロフィール]
秋本敏行: のりものカメラマン
1959年生まれ。鉄道ダイヤ情報〔弘済出版社(当時)〕の1981年冬号から1988年までカメラマン・チームの一員として参加。1983年の季刊化や1987年の月刊化にも関わる。その後に旧車系の自動車雑誌やバイク雑誌の編集長などを経て、2012年よりフリー。最近の著書にKindle版『ヒマラヤの先を目指した遥かなる路線バスの旅』〔三共グラフィック〕などがある。日本国内の鉄道・軌道の旅客営業路線全線を完乗している。