駅前等にある鉄道系展示品を訪ねる(7前篇)新潟県・糸魚川駅

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[場所]JR北陸新幹線など 糸魚川駅

駅ナカや駅近の鉄道にまつわるオブジェや
モニュメントを訪ねる不定期シリーズです

アルプス口に赤レンガ車庫の出入口が復元再築
されどモニュメントはそれだけではなかった

糸魚川駅といえば、JR北陸新幹線の駅西南西約5kmの地点に50/60Hz切替セクションが、在来線えちごトキめき鉄道(旧・JR北陸本線)の駅東南東約3kmの地点に交直デッドセクションがあったりと、電化方式が異なる境に設けられる区分セクションが近くに2ケ所もある場所として知れ渡っているが、鉄道好きにとっては、駅南西側に建っていた「赤レンガ車庫」があった駅としての知名度が高いだろう。そして、この 車庫 の車輛出入口片面を切り取って、糸魚川駅アルプス(南)口にモニュメントとして復元再築されたことも、当サイトの読者ならご存知だと思う。ところでその、鉄道関連の展示物はコレだけではなかった。

在来線の駅西南西寄りにある頭端式プラットホーム4番線から南を向くと、北陸新幹線の高架下に隔離された気動車の姿が窺える。目に留まってしまうと、これは訪ねなければなるまい、という気持ちにさせてくれる眺めだろう。
えちごトキめき鉄道もしくはJR大糸線の3・4番線プラットホーム泊or南小谷寄りから南方を向くと、北陸新幹線の高架下に、キハ52形気動車が保存されているのが目撃できる。
これは2010年3月12日まで大糸線 糸魚川-南小谷 間で使用されていた3両のキハ52のうちの1両、キハ52 156 で、2014年11月26日にこの場所に搬入され、保存展示されたもの。
ということで、乗り換え時や車窓から、もしくはSNSなどを見てこの中がどんな風なのか気になっていた方に、展示状態を見ていただこうと思い、当サイトで紹介することにした。

気動車が置かれているのは新幹線高架下の施設の中の「キハ52待合室」というスペースになる。車番はキハ52 156 で、廃車間近の頃には首都圏色に塗られていた車輛。写真では左がアルプス(南)口駅前広場側で、右が在来線側になる。
キハ52 156のアルプス(南)口駅前広場側の前面付近からの眺め。待合室ということで、車内には当然立ち入ることができる。さらにこの車内を通り抜けると、その先にある「ジオラマ鉄道模型ステーション」に出られる。
上写真右にある説明板のアップ。1966年の製造後、北陸地方や上越地区を点々としてきたことを教えている。
アルプス(南)口駅前広場側の運転席後部の眺め。乗降口右外には「ジオラマ鉄道模型ステーション」のスペースがある。
上写真の位置からの反対(在来線)側の眺め。同車現役末期のトイレ撤去後の姿のままなのが確認できる。
アルプス(南)口駅前に2015年3月に復元再築された「赤レンガ車庫」のモニュメント。元の「赤レンガ車庫」の竣工は1912年(大正元年)で、2010年春に解体され、そのうちの富山(西)側の正面が切り取られ保存展示されている。左の出入口にはレールが設けられ、キハ52 156 を表に出せるようになっているのが嬉しい配慮。ちなみに写真に写っている新幹線高架下の範囲がちょうど 糸魚川ジオステーション・ジオパル の施設になる。
上写真で、アルプス(南)口駅へ延びているレールを、キハ52 156 の貫通扉窓から眺めたところ。当日は消防出初式が行なわれており、このような光景が撮影できた。
キハ52 156 の在来線側にしまわれたW(E)7系の顔ハメ。この後ろにキハ52の移動に使用される移動機アントが隠されている。
キハ52 156 が保存展示されている北陸新幹線高架下の部屋は「キハ52待合室」と名付けられているが、北陸新幹線の高架下の空間にはこの他の施設も設置されていて、トータル的には「糸魚川ジオステーション・ジオパル」という名称になっている。
ところで、この高架下の施設からは外れているが、糸魚川駅のアルプス(南)口周辺には、もうひとつのモニュメントが存在する。
それは大糸線で1972年10月まで活躍していたSL保存機の C12 88号機で、「赤レンガ車庫」のモニュメントから南西に160mほどの場所に展示されている。

SL C12 88 は糸魚川市立糸魚川小学校の脇に保存展示されている。 アルプス(南)口駅前広場から右へ一本道なので判りやすい。
展示方向は煙室側が北西向きに置かれている。
腕木式信号機も一緒に展示されていて、雰囲気作りに一役買っている。
在来線の踏切にも近く、タイミングが合えば列車を眺められる。車輛はJR大糸線キハ120形。
腕木信号機脇に設置されている説明板。C12 88 が生涯を「糸魚川機関庫」で過ごしたことを伝えている。
なお、この C12 88 が展示されている周囲は「C12 SLパーク」という小さな公園になっており、そのスペースに「赤レンガ車庫」が解体された時に出た廃材をオブジェとして陳列してある。駅アルプス(南)口の「赤レンガ車庫」などを訪ねたならば、こちらもぜひ見学しておきたいスポットではないかと思う。

SL C12 88 が展示されているその煙室(北西)側は「C12 SLパーク」という公園になっており、赤レンガ車庫の廃材がオブジェになって飾られている。
糸魚川駅絡みの 鉄道にまつわる展示物 はこの他にも 糸魚川ジオステーション・ジオパル 施設の一つ 「ジオラマ鉄道模型ステーション」内にもかなりの数があるので、そちらもじっくり紹介したいため、今回は2部構成にさせていただいた。次回はそのあたりを巡ってみよう。

せっかくなのでモニュメントをもう一つ。これは1番線プラットホーム富山(西)寄りの脇に立つ「汽笛一声百年之碑」で、国鉄が陸上輸送の王者だった頃を想い起こさせてくれる。
開館時間
ジオパーク観光インフォメーションセンター/8:30~19:00
(7・8・9月は19:30まで)
キハ52待合室/8:30~19:00(7・8・9月は19:30まで)
ジオラマ鉄道模型ステーション/平日10:00~18:00
/土・日・祝9:00~18:30(7・8・9月は19:00まで)
休館日 1月1日

ここに掲載の内容はアップ日時点の情報になります。その後に状況の変化や、変更があった場合にはご容赦ください。

[寄稿者プロフィール]
秋本敏行: のりものカメラマン
1959年生まれ。鉄道ダイヤ情報〔弘済出版社(当時)〕の1981年冬号から1988年までカメラマン・チームの一員として参加。1983年の季刊化や1987年の月刊化にも関わる。その後に旧車系の自動車雑誌やバイク雑誌の編集長などを経て、2012年よりフリー。最近の著書にKindle版『ヒマラヤの先を目指した遥かなる路線バスの旅』〔三共グラフィック〕などがある。日本国内の鉄道・軌道の旅客営業路線全線を完乗している。