標準軌とサブロクの異ゲージが交叉する場所

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[場所] JR奥羽本線 羽前千歳駅
JR奥羽本線(山形線) 山形-羽前千歳 間が軌間1,435mmゲージの標準軌と軌間1,067mmゲージの異なるゲージの単線並列線になっていることは当サイトの読者ならご存知と思う。そしてそんな特殊な区間なので2017年12月26日アップの「お堀端を走る単線並列線」(←その記事はココをクリック) で、そこの一部区間ではあるが紹介しており、その記事の中ではほぼ南北に走る線路の西側が1,067mmゲージで、東側には1,435mmゲージが並んで敷設されていることを伝えている。

さてこの並び方だが、山形駅 の次の 北山形駅 では1,067mmゲージである左沢線が西方へ分岐するため違和感はないが、その次の駅の 羽前千歳駅 では1,067mmゲージである仙山線が東方へ分岐しているので、それなら両線がどこかで交叉しているはずで、そこが気になっている方は多いのではなかろうか。
ちなみにタイトルの「サブロク」はこの場合3ft6inの隠語で1,067mmゲージを指している。日本のポピュラーなゲージである1,067mmを「狭軌」と標記したくなかったため、あえて使用させていただいた。

山形駅北方300mほどの所にある跨線橋上から南向きに見たJR奥羽本線 山形駅の眺め。左(東)側に1,435mmゲージ、右(西)側に1,067mmゲージが並ぶ。羽前千歳駅では仙山線が東方に分岐していくので、両ゲージがどう交叉しているのか気になる点だろう。

両線が交叉している場所は羽前千歳駅から南方へ200mほどの地点にある。羽前千歳駅プラットホーム山形寄り(南)端から遠望することができるが、E3系使用の特急「つばさ」は超高速で通過するため、見学する場合は標準軌側では黄色い線の内側よりもさらに内側にて待機したい。
それでは、その場所からどんな車輛がどのように眺められるか見ていこう。

羽前千歳駅プラットホーム南端からの山形(南)方の眺めで、以下の写真2枚も同じ地点からの光景。まずは、交叉部分を通過するE3系の上り特急「つばさ」を後追い撮影。踏切で道路を渡る新幹線電車は、何か不思議なシチュエーションに見える。
仙山線から交叉部分を通り奥羽線単線並列の1,067mmゲージ区間に入ったE721系使用の普通山形行を後追い撮影。安全側線が1,067mmゲージ側のみの設置なのが判る。当然、可動もしている。
奥羽本線の1,435mmゲージ区間を走行する701系使用の普通山形行を後追い撮影。こちらの線路には他に719系も運用されている。

では、上写真に写っている踏切地点から交叉部分がどのように眺められるかも見ていこう。なお、写真2枚とも 羽前千歳駅 南側山形寄りからの北側新庄方の眺めで左が西、右が東になる。レール間隔が広い方が1,435mmゲージで、狭い方が1,067mmゲージなのは言わずもがなだろう。

可動クロッシングの1,067mmゲージ側が開通している状態。
可動クロッシングの1,435mmゲージ側が開通している状態。安全側線は北側も1,067mmゲージ側のみの設置なのが判る。

眺めてみて思ったことは、奥羽本線と仙山線両線の分岐駅にきっちりと交叉部分を設けていることに律儀さを感じた。おそらくは線路補修作業時の混乱を防ぐための配慮なのだろう。

同踏切に掲げられていた注意看板。山形-羽前千歳 間が単線並列なことを喚起している。

せっかくなのでこの両線の変遷を「お堀端を走る単線並列線」の記事から転載しておこう。

山形-羽前千歳 間は1901年(明治34年)8月23日に山形-楯岡 間開通時に運行開始。1960年11月1日に山形-羽前千歳間を直流電化。1968年9月8日に山形-北山形 間を方向別の複線化、山形-羽前千歳 間を交流電化に変更。1986年7月2日に北山形-羽前千歳 間を方向別の複線化。1998年10月27日山形新幹線延伸のための改軌工事により単線化。そして1999年12月4日に山形新幹線が新庄まで延伸開業した時に異ゲージの単線並列線になっている。

ここに掲載の内容はアップ日時点の情報になります。その後に状況の変化や、変更があった場合にはご容赦ください。

[寄稿者プロフィール]
秋本敏行: のりものカメラマン
1959年生まれ。鉄道ダイヤ情報〔弘済出版社(当時)〕の1981年冬号から1988年までカメラマン・チームの一員として参加。1983年の季刊化や1987年の月刊化にも関わる。その後に旧車系の自動車雑誌やバイク雑誌の編集長などを経て、2012年よりフリー。最近の著書にKindle版『ヒマラヤの先を目指した遥かなる路線バスの旅』〔三共グラフィック〕などがある。日本国内の鉄道・軌道の旅客営業路線全線を完乗している。