鉄道旅を一層たのしくする車窓・施設案内シリーズです。
[場所]アルピコ交通上高地線 新村駅
「青ガエル」こと元東急5000系の最後に残った車輛である熊本電鉄5101A(元東急デハ5031)が2016年2月14日にラストランを果たし、青ガエルがすべて現役を引退したニュースは全国に伝えられたが、いまだに線路の上に載った青ガエルを見られる場所が他にもある。
それは長野県松本市のアルピコ交通 新村駅で、 ここにおいてモハ5005+クハ5006編成(元東急デハ5055+デハ5048)が駅に隣接する車庫に静態保存されている。まあこのことは当サイトの読者ならだいたい知っていると思うが、これが何と営業路線とレールがつながっている線路の上に置かれているため、見ていると何かワクワクしてしまうという人は多いのではなかろうか。
この新村駅に保存されている青ガエルは、モハ5005が1959年(昭和34年)10月に、クハ5006が1958年12月に、共に東急車輛製造にて新造された車輛で、この編成がアルピコ交通の前身である松本電鉄にやってきたのは1986年(昭和61年)12月24日に上高地線の架線電圧が1,500Vに昇圧された時期に合わせた直前の11月になる。そして廃車されたのは2000年9月27日のこと。
その後はこの編成のみ解体を免れて松本電鉄カラーで保存されていたのだが、2011年9月に有志の手により東急電鉄時代のグリーンに復元されて、この一連の写真の姿になっている。
元青ガエルが保存されているのは上記の熊本電鉄(予定)の他、東京の渋谷駅ハチ公口に上田モハ5001(元東急デハ5001)がカットボディとして、上信越道 須坂長野東IC近くのトレインギャラリーNAGANOに長野電鉄2500系C10編成(元東急デハ5015+デハ5016)が赤ガエルの姿で保存されている。後者はレストランも併設されているので、鉄道の駅からは遠いが、クルマ旅で近くを通った際には、立ち寄ってみるのも良いかも知れない。
2020年5月23日筆者追記:新村車庫に保存されていた5000形モハ5005+クハ5006は、2020年3月24日に搬出され、群馬県前橋市富士見町赤城高原へ陸送されました。
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[寄稿者プロフィール]
秋本敏行: のりものカメラマン
1959年生まれ。鉄道ダイヤ情報〔弘済出版社(当時)〕の1981年冬号から1988年までカメラマン・チームの一員として参加。1983年の季刊化や1987年の月刊化にも関わる。その後に旧車系の自動車雑誌やバイク雑誌の編集長などを経て、2012年よりフリー。最近の著書にKindle版『ヒマラヤの先を目指した遥かなる路線バスの旅』〔三共グラフィック〕などがある。日本国内の鉄道・軌道の旅客営業路線全線を完乗している。