本来なら「ナゼそこに他の鉄道路線と接続がないターミナル駅…」シリーズのはずが!?
[場所]南海高野線 汐見橋-芦原町
上の[場所]では「高野線」と記しているけれども、記事では世間的に通称「汐見橋線」と呼ばれている線区のレポートになる。なので、本記事では以後は同線を「汐見橋線」と記していく。
実のトコロ、この度紹介する地点の一つ、汐見橋駅は「ナゼそこに他の鉄道路線と接続がないターミナル駅…」シリーズの検証で訪れてみたのだが、阪神電車桜川駅とあまりにも直近(大阪メトロ桜川駅はそれなりに離れている)すぎるので、同ネタとしてはボツ(笑)。
高野線のターミナル駅 汐見橋駅の駅舎。手前が北側。撮った写真は別ネタで先送りにて、いずれ使用すればイイや…ってなことで、発表するタイミングを温存しているうちに、南海電鉄2200系が2025年春に引退のニュースが流れてきたので、この先、これらの写真が使いづらくなるのもあって、追加取材を決行することなく、急遽このタイミングで記事をアップさせていただくことにした。
■汐見橋駅について
さて、ターミナル駅なのに大阪都心部or繁華街から外れた場所に位置している汐見橋駅だが、ナントここが南海電鉄高野線の起点駅なことをご存知の方は多いと思う。今でこそ高野線の電車の実質的始発駅は難波駅になっているが、高野線の前身である高野鉄道が1900年(明治33年)にターミナル駅として開業したのがこの汐見橋駅(開業当時は道頓堀駅)で、現在もこの地位は保たれている。
汐見橋駅は頭端式ホームの駅で、改札口がその先(写真では手前)にある。
改札口上に掲げられている「南海沿線観光案内図」のアップ。ということで冒頭でも記したのだが、当初「ナゼそこに他の鉄道路線と接続がないターミナル駅…」シリーズで記事にしようと思って訪れたのだった。けれども、南海汐見橋駅が阪神桜川駅出入口にあまりにも近かったので、同テーマによる記事では頓挫したのは先述の通り(汗)。
そのような折、コレまた冒頭にて記した通り、2200系が2025年春に引退するニュースが流れてきたので、良い機会だから線路脇の散歩をしながら踏切界隈を見学していこう…というスタイルにて、汐見橋駅-JR大阪環状線交差部分 間のレポートをお送りさせていただく。
なお、記事に登場の車輌2200系2233Fは、2024年7月に廃車になっているので、この度アップ日時点では現存していない車輌(なんか見覚えのあるセリフである)なのだけれども、同車がメインで写っている点はお許し願いたい。
ちなみに、当記事において登場している車輌はすべてこの2233Fなので、編成も「2233」が汐見橋方、「2283」が芦原町・極楽橋方とココで記し、キャプションでの車輌の向きの紹介や編成的な方角の説明も省略させていただいていることを合わせて申し添えておく。
汐見橋1号踏切から眺めた汐見橋駅。ここからだと頭端式ホームなのがかろうじて解る…かな。■汐見橋1号踏切
汐見橋線の踏切名の番号は汐見橋駅方から番記されている。なので汐見橋駅直近が「汐見橋1号踏切」になる。
汐見橋1号踏切からの芦原町方の眺め。架線柱左上の高圧配電線は5本一辺に並んでいるので、種類の判別はこの場所では不可能(汗)。汐見橋線の筆者的見どころの一つは架線柱だと思っている。その中でも市街地の地平部に敷設された線路に、鉄製トラス柱+単ビームの架線柱が立ち並んだ部分の、周囲も合わせた独特な雰囲気には思わず見入ってしまった。
汐見橋1号踏切から眺めた汐見橋駅方。トラスビームの上の電線5本が高圧配電線。
2200系2233Fは、2024年7月に廃車になっているのは、本文中でも記した通り。なので車輌的にはイメージ。以後、電車の説明は省略。汐見橋1号踏切から見た場合のビームのタイプは主に、汐見橋側がトラスビーム、芦原町側が単ビームになっている。
汐見橋1号踏切から眺めた芦原町駅方。左の架線柱上に張られた電線5本は、3本と2本に分かれたので、3本の方が動力高圧配電線、2本の方が信号高圧配電線と思われる。そしてその下の太い同軸ケーブルは饋電線。2233Fの先の踏切が汐見橋3号踏切。2号はドコ!?■汐見橋3号踏切
汐見橋1号踏切の次はナゼか汐見橋3号踏切になっている。2号は何処へ行ってしまったのだろうか? 深く考えてはいけない(笑)。
汐見橋3号踏切の芦原町方の眺め。道路は大浪通で、左が難波駅方、右が木津川大浪橋方。汐見橋3号踏切の特長は、ホボ6車線の道を渡るのだが、その遮断機が屈折式桿になっている点だろうか?
汐見橋3号踏切を通る上り列車。一昨年度の撮影のため、アップ日時点で現存しない建物が写っているのでイメージ。
上写真からの反対向きで、汐見橋3号踏切から眺めた上り列車。それほど特殊なスタイルという訳ではないが、この幅の道路を17mクラス2両編成の電車が踏切で渡るシーンは、これまた市街地の地平部線路だからこそ見られる光景と言えなくもない。
汐見橋3号踏切から眺めた下り列車。
上の連続写真。大浪通の幅はこのくらい。この踏切の付近の架線柱のビームは、両側とも単ビームになっている。
汐見橋3号踏切の西側30mほどの場所には歩道橋が架かっている。
ココから同踏切を駆け抜ける電車のサイドを眺めることができる。
大浪通の木津川大浪橋方に架かる歩道橋上からの眺め。2両編成はギリ入らない。道路幅は歩道部分も含めて約30mくらいなので、ギリ2両編成全体を画面に収めることはできないが、動画なら屈折式桿と絡めで、それなりの編成記録ムービーが撮れなくもない。
ということで、筆者もその動画をユーチューブにアップしてあるので、気が向いたなら視ていただけたら有りがたい。URLは下記。
https://youtu.be/kTKxstN6s0k
上々写真の地点からの反対向きの光景。高圧配電線がこの高さのまま大阪環状線を越そうとすると、架線と線路の間を抜けることになるんだけど…!?
この辺の疑問は「汐見橋4号踏切」の項にて判明するであろう。
■汐見橋4号踏切
JR大阪環状線との交差は、汐見橋線が地平線で、大阪環状線の高架の跨線線路橋をくぐるスタイルになっている。この跨線線路橋の汐見橋駅方にある踏切が汐見橋4号踏切になる。
汐見橋4号踏切から眺めた汐見橋駅方の光景。彼方に見える踏切は汐見橋3号踏切。右の架線柱の上に張られた高圧配電線は、上2本が信号高圧配電線で、下3本が動力高圧配電線、その下は饋電線、線路脇のケーブルトラフには通信ケーブルが収まっていると思われる。
汐見橋4号踏切から眺めた芦原町駅方。先に見えるのは芦原町駅。
汐見橋4号踏切から眺めた上り列車。2233Fの手前の踏切は汐見橋3号踏切。
汐見橋4号踏切から眺めた下り列車。とりあえず右の架線柱の高さに注目。さて、上の写真にて高圧配電線が架線柱のかなり高いトコロに張られていたが、ではこの高圧配電線が大阪環状線の高架を越える時に、どのようになっているのか? 汐見橋3号踏切の項にて5枚上の写真で疑問を呈しているので、気になっている方が少なからず居ると思う。
その答えが下の写真に隠されている。
5枚上の写真でいうトコロの架線柱の右側3本目を、汐見橋4号踏切から撮ったアップ。大阪環状線の跨線線路橋を、高圧配電線が同軸ケーブルになって、饋電線も含めてくぐっているのが見て取れる。当初はこの説明のために撮った写真ではないので、中途半端なアングルな点はご理解いただきたい。左から3番目の架線柱まで延びてきた高圧配電線5本は、ココで同軸ケーブルになって跨線線路橋をくぐり、その次の架線柱でまた高圧配電線5本に戻って、その先まで延びていく。
本来なら、この先の汐見橋5号踏切からの次の架線柱で高圧配電線が5本に戻る場面の写真も、話の流れ上必要なのだが、訪問時には大阪環状線の跨線線路橋の先(芦原町駅寄り)まで行っていないので…その写真はない。中途半端な〆になってしまい、申し訳ない(謝)。
南海電気鉄道の2200系一般車輌が2025年春に引退
南海2200系のうち、観光列車「天空」改造車を除く2200系一般車が2025年春に引退するニュースが南海電気鉄道株式会社から2024年12月10日に発表された。
本記事を急遽アップする切っ掛けになったニュース・リリースのURLを下記に記しておく。
https://www.nankai.co.jp/lib/company/news/pdf/241210.pdf
ここに掲載の内容はアップ日時点の情報になります。その後に状況の変化や、変更があった場合にはご容赦ください。
[寄稿者プロフィール]
秋本敏行: のりものカメラマン
1959年生まれ。鉄道ダイヤ情報〔弘済出版社(当時)〕の1981年冬号から1988年までカメラマン・チームの一員として参加。1983年の季刊化や1987年の月刊化にも関わる。その後に旧車系の自動車雑誌やバイク雑誌の編集長などを経て、2012年よりフリー。最近の著書にKindle版『ヒマラヤの先を目指した遥かなる路線バスの旅』〔三共グラフィック〕などがある。日本国内の鉄道・軌道の旅客営業路線全線を完乗している。