2025年3月15日…根室駅が国内最東端駅のタイトルを奪還

↑の日までの国内最東端の鉄道駅タイトルホルダーは東根室駅

[場所]JR根室本線(花咲線)東根室-根室

2025年3月15日(土)に、JRグループのダイヤ改正が実施される。
この日の前日いっぱいで、JR北海道の無人駅のうち5駅が廃止になることは既に各メディアによりアナウンスされているが、これらのうちの一つに、アップ日時点で日本国内最東端鉄道駅のタイトルを持つJR根室本線(花咲線)「東根室駅」が入っているのを、当サイトの読者ならご存知だろう。なので同駅の廃止により3月15日からは、隣駅の根室駅が国内最東端鉄道駅のタイトルホルダーに返り咲く。

根室駅本屋出入口風除室外側壁には北方四島のイラストが描かれている。そして、左の黄色いポストの存在を覚えておいていただきたい。画像:宮坂英明
そのような流れの中、この東根室駅廃止ネタに呼応するように、筆者の旧くからの知人である諸兄2名より東根室駅・根室駅の写真が送られてきたので、根室駅が国内最東端駅のタイトルを奪還の記事をココに記させていただく。

根室駅待合室の出札口側に掲出されている「花咲線観光マップ」。右が根室半島。画像:宮坂英明

アップ日時点で国内最東端駅は東根室駅

まずは、当記事アップ日時点での日本国内最東端鉄道駅である根室本線(花咲線)の「東根室駅」から眺めていこう。

東根室駅のプラットホームは、線路の東側に設置されている。なので写真では左が北。画像:宮坂英明
ではナゼ根室本線(花咲線)の「東根室駅」が、釧路(西)方から延びてきた終端駅である同線「根室駅」より東にあるのか?
それは上々写真の地図を見ていただけたら解るが、根室本線(花咲線)は釧路方から太平洋沿いを東進してくるけれども、西和田駅を過ぎて北東約5kmほどの地点から線路は北方山側へと向きを変え、根室半島を横断して、根室湾沿岸に形成された港町・根室の市街地へと至っているのだが、この根室半島を越えるためのルートは市街地の東へ大きく迂回しているので、町場へは東側から入って行く線形になっている。
この途中にあるのが「東根室駅」なので、結果として同駅が国内最東端に位置する駅になる。
ところで、東根室駅は根室本線開通時の1921年(大正10年)8月5日にはまだなく、同線の開業時には終着駅の根室駅が国内最東端の鉄道駅だった。だが1961年9月1日に根室駅から営業キロ1.5kmの距離(位置的には東約1.2km地点)に「東根室駅」が開設されたため、この時にコチラが国内最東端の鉄道駅のタイトルホルダーになった経緯がある。

左:プラットホームの標柱。右:駅前広場の標柱。画像:宮坂英明
実のところ、コレに加え、1929年(昭和)~1959年の間は根室拓殖鉄道・歯舞駅に国内最東端鉄道駅のタイトルを持っていかれていたが、コチラの話も語ると長くなるので、この度は割愛させていただく(汗)。

東根室駅の時刻表および運賃表、掲示板など。画像:宮坂英明
ちなみに、写真を見ても解るとおり、東根室駅は無人駅である。同駅のチョット旧い駅名標の写真も知人から届いたので、ソチラも掲載しておこう。

チョット昔の東根室駅の駅名標と標柱。かつての標柱は白かった。画像:上原萬太郎
なお、現時点(東根室駅廃止までの間か?)では「最東端駅東根室到着証明書」なる記念証を、隣駅の根室駅の駅前広場西側に建つ根室市の施設「根室市観光インフォメーションセンター(9時~17時)」にて花咲線鉄道利用者に配布している(数に限りがあるため、在庫がなくなった場合にはご容赦ください)という情報を、写真提供者の宮坂英明氏から得ている。

「最東端駅 東根室駅 到着証明書」は、根室駅の駅前広場西脇に建つ根室市の施設「根室市観光インフォメーションセンター」にて配布されている。画像:宮坂英明
右の「日本本土四極 最東端 出発・訪問・到達 証明書」も、根室駅の駅前広場西脇「根室市観光インフォメーションセンター」にての配布物。画像:宮坂英明
念のため再度記すが、東根室駅は無人駅のため、上写真の記念証は終着駅「根室駅」の駅前広場西側に建つ根室市の施設「根室市観光インフォメーションセンター」での配布になる(数に限りがあるため、在庫がなくなった場合にはご容赦ください)。駅での配布ではないので注意が必要だ。

2025年3月15日からの国内最東端終着駅の根室駅

根室駅は2025年3月15日(土)から日本国内最東端の鉄道駅に返り咲く。とはいえ、特に新駅ということではなく、駅構内的には今までと変わりはないのだが、いわゆる終着駅が「国内最東端の鉄道駅」になったということで、根室駅へ到着した時の気分はテンション上げ上げ感が、やはり増すことだろう。なので、終着駅独特の雰囲気をお伝えしたく、線路終端部など、駅施設の写真も掲載しておこう。

根室駅の車止めは駅の西側にある。なので、写真では左が北。画像:宮坂英明
記事冒頭で記したが、根室本線(花咲線)根室駅は釧路など西方から行くと東に向かった先にあるわけだけれども、その経路は、それまで太平洋沿いを東進していた線路が、根室駅に近づくと根室半島を横断するために一旦東側を迂回して、東方から駅に進入するルートになっている。
なので終着駅の象徴の根室駅の車止めは駅の西側にあり、駅本屋はプラットホームの北側に建っている。
まぁ鉄道旅に慣れた当サイトの読者ならイマさらネタとは思うが…。

左:根室駅本屋出入口風除室外側壁の北方四島のイラスト。画像:宮坂英明 右:根室駅プラットホームの駅名標。画像:上原萬太郎
根室駅の駅前には「幸せの黄色いポスト」が設置されている。

左:根室駅本屋出入口風除室外側脇前に立つ黄色いポスト。右:愛称は「幸せの黄色いポスト…!」で、ある場所は「駅を出て、すぐそこ!」。 画像:宮坂英明
このポストは本物の郵便ポストで、ではナゼ黄色いポストなのか? などの説明は、下の写真を見ていただきたくお願いする。

黄色いポストの説明板。画像:宮坂英明
根室駅構内ではないが、東根室駅の項で紹介した、根室駅駅前広場西側に建つ「根室市観光インフォメーションセンター(9時~17時)」においては、いろいろな記念グッズも売っているので、その一部の写真も載せておこう。

左:根室駅待合室に掲出された、過去の記念入場券や各証明書の展示。一応売り物でないことを記しておく。右:根室市観光インフォメーションセンターの隣接に立地する「おみやげ館 光風」に陳列されている花咲線記念グッズのご案内。画像:宮坂英明
そして、車止めの先に立っている説明板のアップにて、この項を〆ることとする。

車止めの先に設置されている「根室本線終点」の説明板。画像:宮坂英明
上の説明板に列記されている鉄道駅はJR線としての終着駅であって、西と南に関しては国内最先端に位置している鉄道駅の名ではない。まぁ当サイトの読者なら、JR線としての終着駅なことは一目瞭然だろうが…。

■2025年3月15日JRダイヤ改正で廃止になる、東根室駅以外のJR北海道の駅
根室本線 東滝川駅
宗谷本線 雄信内駅
宗谷本線 南幌延駅
宗谷本線 抜海駅

国内最西端の鉄道駅と国内最南端の鉄道駅は途中駅…

日本国内最北端の鉄道駅のタイトルは宗谷本線の終着駅・稚内駅が戦後から不動(戦前を含めると話が長くなるので省略)だが、2025年3月15日(土)に根室本線(花咲線)の終着駅・根室駅が日本国内最東端の鉄道駅になることで、コレにより北に加え、東も終着駅が国内最先端駅のタイトルホルダーになる。
と、ここで気になるのは西と南の最先端鉄軌道駅のタイトルホルダーが、捉え方の種類により2箇所に分散してしまうという点だ。それは最南端駅がJR指宿枕崎線 西大山駅、最西端駅が松浦鉄道 たびら平戸口駅と途中駅なので、この両駅への到達感がイマイチだから…という話ではない(汗)。

日本国内最西端の鉄道駅である 九州の第三セクター鉄道・松浦鉄道 たびら平戸口駅。画像:宮坂英明
ナゼかというと、この上記2駅は2本のレールの上を自走する鉄道駅としては確かに西・南の日本最先端鉄道駅なのだが、「鉄道要覧」における「軌道法」適用路線の項目にある「跨座式モノレール」までを含めると、沖縄県の ゆいレール(沖縄都市モノレール) は鉄軌道の路線になるわけで、この ゆいレール が結果として日本の西・南最先端鉄軌道になる。そしての乗降施設には「駅」の名称が付されていて、同線における最西端駅が那覇空港駅、同線の最南端駅が赤嶺駅になるからだ。
ゆいレールは、軌道法における軌道線ではあるが、とはいえ跨座式モノレールの駅を鉄道線の駅の仲間に入れるかどうか、日本国内最西端・日本国内最南端のタイトルが懸かってくると、人それぞれで考え方も異なるだろうから、意見は慎重にならざるを得まい。ここではコレの結論をださないことにする。

ここに掲載の内容はアップ日時点の情報になります。その後に状況の変化や、変更があった場合にはご容赦ください。

[寄稿者プロフィール]
秋本敏行: のりものカメラマン
1959年生まれ。鉄道ダイヤ情報〔弘済出版社(当時)〕の1981年冬号から1988年までカメラマン・チームの一員として参加。1983年の季刊化や1987年の月刊化にも関わる。その後に旧車系の自動車雑誌やバイク雑誌の編集長などを経て、2012年よりフリー。最近の著書にKindle版『ヒマラヤの先を目指した遥かなる路線バスの旅』〔三共グラフィック〕などがある。日本国内の鉄道・軌道の旅客営業路線全線を完乗している。