天井川の掘削トンネル探訪(7) JR七尾線・宝達川隧道

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[場所]JR七尾線 免田-宝達

天井川の鉄道隧道の中でも掘削トンネルを
特に限定で訪ねる不定期シリーズです

天井川といえば近畿地方(便宜的に岐阜県美濃南西部を含む)にあるイメージが強いが、なんと北陸能登のJR七尾線沿線にも存在している。それが能登半島南西部から日本海へと流れ込む宝達川になる。
区間的には免田-宝達 間で、天井川である宝達川の下を隧道にてくぐっている。
というわけで「天井川の掘削トンネル探訪」シリーズの一つとして、そんな宝達川隧道を訪ねてみた。

宝達駅1番線ホームからの南(津幡方)向きの眺めで、スグのトコロに宝達川隧道が見える。電車は681系
「天井川」は中学くらいの社会科で習っているので皆さんはどんなモノか解っていると思う。また、そこをくぐり抜けるために鉄道隧道が存在していることも、当サイトの読者ならご存知だろう。なので天井川隧道の説明は省略させていただくが、詳しくは2016年1月6日アップ「日本で最初に作られた鉄道トンネル石屋川隧道を訪ねてみた」の記事中で少し解説しているので、合わせて見ていただけたらとお願いしたい。

宝達駅2番線ホームからの南(津幡方)向きの眺めで、電車は1番線へ進入する521系。
天井川隧道トンネルの特徴としては、短いので向こう側の景色が見えるのと、上の山が低いというのがあり、この要素により運転席後から前面や、車掌室前から後面を眺めていると、天井川はそれなりに見分けがつく。
ところで、現在の天井川をくぐる線路のスタイルとしては開削トンネルか跨線水路橋タイプが多く、掘削トンネルはかなり少ない。上記リンクの記事中で紹介している「芦屋川隧道」と「住吉川隧道」も開削トンネルと見られ…ならば掘削タイプの天井川隧道が見たい…っていうのもあって、それを探していた結果、その報告をしたくなったのが、この不定期シリーズを始めるキッカケになっている(汗)。

■最寄りは宝達駅
上の写真は宝達駅から眺めた宝達川隧道だが、これを見て同駅からの天井川たる宝達川までの距離がかなり至近なことが解るだろう。ということで、筆者は宝達川隧道の訪問には宝達駅を利用した。
まずは、宝達駅からの宝達川隧道の坑門を眺めていこう。

宝達駅1番線ホームからの南(津幡方)向きの眺めで、2番線より521系電車が金沢へ向けて発車していくトコロ。
宝達駅1番線を通過する下り特急。電車は683系。
宝達駅では上り特急も1番線を通過する。電車は681系。
宝達駅から眺めた通り、宝達川隧道のトンネル断面は逆U字型なので、掘削隧道であろうと思われる。
トンネル坑門がポータルまで含めてレンガ構造なのも良い雰囲気を醸しだしている。

■宝達川隧道の上はどぉなっている!?
次は、宝達川隧道の上の天井川がどのように流れているのかを眺めるべく、訪ねてみた。

宝達駅は東西に駅舎がある。こちらは東口駅舎。
道順としては東口から南へ向かうのが行きやすく、こちらからだとトンネルから上流250mくらいに橋が架かっているので、川の対岸へ渡るのにも便利といえる。

宝達川隧道より上流250mくらいの地点に架かる門前橋上から宝達川を下流向きに眺めたトコロ。
宝達川の上流向きの眺めで、この下に天井川トンネルがある。
宝達川はご覧のように、天井川としてはかなりの水量の水が流れている河川だった。そして、トンネル上からこの川面を入れて、下を走る電車を撮れるスポットがあることも判った。

■天井川トンネル上からの北向きの眺め
トンネル上からの景色を、先に北向き(和倉温泉方)より眺めていこう。

宝達川左岸(南側)からの北向きの眺めで、彼方に宝達駅が見える。電車は521系。
見ての通り宝達川の天井川トンネル上からは、手前に川面を入れて、奥に河川の下を通る電車が眺められる、いかにも天井川トンネルといった光景が展開されている。
上写真は左岸(南側)からで電車の写りが小さいので、同方向を対岸の右岸(北側)より撮った写真も載せておこう。

宝達川右岸(北側)からの北向の眺めで、宝達駅との位置関係はこのくらいになる。電車は共に521系。
このアングルでは、電車は大きく写るが、天井川トンネル上らしい写真にはならない。けれども、まぁ下を電車が走っている証拠写真ということで見ていただけたら幸いだ。

■天井川トンネル上からの南向きの眺め
続いて南向き(津幡方)の景色を眺めてみよう。

宝達川右岸(北側)からの南向きの眺め。電車は521系。
右岸(北側)より電車と川面を入れたアングルは、こちら側からも撮影できる。
だが右岸からではやはり電車が小さくしか見えないので、左岸(南側)よりの写真も載せておく。

宝達川左岸(南側)からの南向きの眺め。筆者の背後に天井川があるが、このアングルだと、ただの俯瞰写真(笑)。電車は521系。
ところで、右岸(北側)からは上写真のトコロにいる電車は見えないので、上々写真と同じ位置に電車がいる写真も載せておこう。

上写真と同じ地点からの眺め。上々写真で521系がいる位置はこの辺になる。電車は521系。
■宝達川隧道の免田側坑門
そして宝達川隧道の免田(南)側の坑門を眺めていこう。こちら側からの眺めも、上部に山がなく短い隧道という天井川トンネルの特徴を見ることができる。
そして宝達駅側坑門と同じくトンネル断面が逆U字型をしている(当たり前である…)ので掘削隧道であろうと思われる。
ちなみに筆者は、天井川トンネル上からこの地点へは東側を回っていったが、踏切位置の関係から、こちら回りで正解であった。

宝達川隧道を抜けてきた521系使用の上り電車。タイトル写真の連続撮影になる。
なお、天井川トンネルの先には宝達駅が望めるので、その写真も載せておこう。

宝達川隧道越しに眺めた宝達駅。521系電車が停まっているのは1番線ホーム。
天井川をくぐる掘削隧道は国内にまだまだあるし、この3回前の東海道本線旧・草津川隧道から廃川の旧河道も訪問することにしたので、対象がますます増えた。それがドコなのか? 折りを見てぼちぼち記事にしていくので、楽しみにしてていただけたら幸いだ。

ここに掲載の内容はアップ日時点の情報になります。その後に状況の変化や、変更があった場合にはご容赦ください。

[寄稿者プロフィール]
秋本敏行: のりものカメラマン
1959年生まれ。鉄道ダイヤ情報〔弘済出版社(当時)〕の1981年冬号から1988年までカメラマン・チームの一員として参加。1983年の季刊化や1987年の月刊化にも関わる。その後に旧車系の自動車雑誌やバイク雑誌の編集長などを経て、2012年よりフリー。最近の著書にKindle版『ヒマラヤの先を目指した遥かなる路線バスの旅』〔三共グラフィック〕などがある。日本国内の鉄道・軌道の旅客営業路線全線を完乗している。