カテナリ架線~剛体架線切替部分が間近に見れる電停…高岡篇

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[場所]万葉線高岡軌道線 高岡駅停留場+α

富山県の万葉線(株)高岡軌道線は2014年3月28日までは起点の電停が高岡駅前停留場だったが、翌日に高岡駅停留場へ起点が移転して路線が0.1km延びた。
さて、この新電停だが駅ビルの中に入っていて、その部分の架線は剛体架線が張られている。ところで、高岡軌道線のすえひろーど(駅前通り)区間にはシンプルカテナリー架線が張られているが、そうなるとこの間のドコかに剛体架線⇔カテナリ架線切り替え部分があることになる。ということで探してみた。

高岡軌道線 高岡駅電停 の剛体架線のアルミ合金製T形材は地下鉄などの鉄道に使用しているモノよりは細いT形材が吊架されている。電車はMLRV1000形アイトラムのMLRV1003-B方。
高岡駅電停 の剛体架線の突端側もお見せしておこう。電車は上と同じMLRV1000形アイトラムの反対側MLRV1003-A方。
高岡軌道線の、屋外へ出たスグの所からはシンプルカテナリ架線を採用している。電車はデ7070形デ7073号。この辺りに2014年3月29日まで 高岡駅前電停 があった。
こうして見つけた剛体架線⇔カテナリ架線切り替え部分が、下写真の高岡軌道線が駅ビルから屋外へ出る境目の場所になる。

剛体架線⇔シンプルカテナリ架線切り替え部分は駅ビルから出る間際の分岐器上にある。
余談になるが、当サイトでは2019年10月11日アップ「カテナリ架線~剛体架線切り替え部分が間近に見られる駅」の中で東葉高速鉄道 船橋日大前 駅を稀少な場所として紹介しているが、軌道線の停留場まで範囲を広げたらまだあるのではないか? と思い、浮かび上がってきたのがこの電停なのだ。
そして先日、たまたま富山県へ行くチャンスが巡ってきたので訪ねたしだいだ。
では、剛体架線⇔カテナリ架線切り替え部分を紹介していこう。

剛体架線⇔シンプルカテナリ架線切り替え部分のアップ。右の吊架線の張力装置はバネ式が採用されているのが解る。
サイドから眺めたところ。手前の剛体架線はトロリ線から、奥の剛体架線は吊架線から電気を取っている。
次は剛体架線⇔カテナリ架線切り替え部分のパンタグラフ通過シーンを眺めみよてう。
撮影のタイミングで、ともにZパンタになっている点はご了承いただきたい。

斜め前からのZパンタの通過シーン。速度が遅いためか、それほど揺れなかった。
サイドからのZパンタの通過シーン。切り替え部分は剛体架線がやや上方に曲げられている。
タイトル写真からの一連3枚に写っているアイトラムがドラえもん柄(?)なのが気になった方もいるのではないだろうか。実は筆者が高岡駅電停まで乗ってきたのが丁度この車輛なので車内写真も撮ってある。なので、その写真も1枚載せておこう。

ドラえもんトラムのMLRV1000形MLRV1003-Aの運転席回り。車内も青い。
なんと富山県内には剛体架線⇔カテナリ架線切り替え部分がある電停がもぅ1つ存在する。
電停と書いてしまった時点で、ホボ皆が解ってしまったと思うが、それがドコなのか楽しみに(笑)待っていていただけたら幸いだ。

新吉久電停ソバに展示のデ5022にも逢いにいこう

万葉線に乗りに行ったら、この機会に高岡軌道線 新吉久 電停近くのTEKリトルパークに保存されているデ5000系デ5010形デ5022号を眺めにいくことをお勧めしたい。
デ5010形は元・富山地方鉄道の電車で、射水線にも運行されていた。
射水線といえば、富山市の新富山駅~射水市(新湊地区)の新港東口駅を結んでいて、1980年4月1日付(最終営業日は3月31日)で廃止された路線のイメージが強い。

デ5022を北側から見たトコロ。左の塀の向こうが電車通りで、以下の車輛の向きはその線路を基準に説明している。
ではデ5010形デ5022がナゼこの地に保存されているのか?
現・万葉線(2002年3月31日までは加越能鉄道)は、1966年4月5日に富山地鉄射水線 堀岡-越ノ潟 間が廃止になる前は射水線とつながっていた。というか正確には新湊(現・六渡寺)駅から東は射水線(当時)で、富山新港建設による港口の切断で 堀岡-越ノ潟 間の廃止により分断されたため、同日に 新湊-越ノ潟 間は加越能鉄道(当時)に譲渡され、高岡駅前停留場-越ノ潟駅 間の路線になった。
そんなわけで、万葉線が射水線を介してかつて富山市までつながっていた記憶を後世へ伝えるメモリアルのシンボルとして、加越能鉄道⇔富山地鉄射水線を直通運転していた車輛であり、1992年に車籍廃車にはなったが、その後2012年まで除雪機械として万葉線に残った1両デ5022を展示されるに至った。
せっかくなのでデ5022の四面写真も紹介しておこう。

線路と反対側の側面。
高岡駅電停側の妻面。
線路側の側面。
越ノ潟側の妻面。
デ5022の諸元などは説明板を載せておくので、そちらを読んでいただきたくお願いしたい。

デ5022の脇に掲げられている説明板。ちなみに、日立製作所で製造されたのはデ5021~デ5030までの10両。
なお、TEKは「高岡市衛生公社」のローマ字での頭文字を並べた略称で、TEKリトルパークは同公社開業60周年を記念して2018年10月13日に開園した公園になる。

ここに掲載の内容はアップ日時点の情報になります。その後に状況の変化や、変更があった場合にはご容赦ください。
また、コロナ禍の最中ですが、外出自粛要請前の撮影なことを申し添えておきます。

[寄稿者プロフィール]
秋本敏行: のりものカメラマン
1959年生まれ。鉄道ダイヤ情報〔弘済出版社(当時)〕の1981年冬号から1988年までカメラマン・チームの一員として参加。1983年の季刊化や1987年の月刊化にも関わる。その後に旧車系の自動車雑誌やバイク雑誌の編集長などを経て、2012年よりフリー。最近の著書にKindle版『ヒマラヤの先を目指した遥かなる路線バスの旅』〔三共グラフィック〕などがある。日本国内の鉄道・軌道の旅客営業路線全線を完乗している。