鉄道が主役の旅スタイルを応援する見どころ案内
[場所]JR桜井線-JR和歌山線全線+JR紀勢本線 和歌山-和歌山市
国鉄時代の常磐緩行線で1971年から営団地下鉄(現・東京メトロ)千代田線への乗り入れ車として1986年3月まで活躍していた103系1000番台通勤形直流電車は、個性的な前面ガラスで昭和時代においては斬新なデザインの貫通型として異彩を放っていたが、そんな同車のスタイルを継承した105系改造車クハ105形0番台が48年の時を経た2019年の現在も活躍している場所がある。
さて、当時首都圏在住のアラフォー世代以上が、その頃のレトロ感を味わいに行くというガイドとしてはいまさらだが、ではナゼこの時期に紹介したかというと、あと約1年後の2020年春には、この前面を持つ105系クハ105形0番台が全廃になると予想されるからだ。
なぜなら、JR西日本が2020年春までに、同区間に車載型ICOCA導入のため、新型車輛への置き換えを順次実施していくことが決定したからになる。
さらに、上記の区間で運行されている105系4扉車は、他の形式も元・103系1000番台改造車が大方を占めているので車齢も古く、こちらもクハ105形0番台と同じように、この置き換えにより2020年春で全廃になることが想像できる。なので105系4扉車はあと1年は見られるとはいえ、置き換えのペースを考慮すれば、効率良く楽しめるのは、この夏くらいまでかなと踏んだのも記事にした訳である。
では、その元・103系1000番台のうちのクハ105形0番台に、どんなバージョンがあるか眺めていこう。
運行区間は上のタイトル下にも書いてある通りで、乗る分にはこの区間で追ッカケをすれば良いのだが、撮影するとなると、案外大変な部分がある。それは、元・103系1000番台の前面を有しているのはクハのみになり、王寺方に連結されているため、これを順光で撮影できる場所がかなり限られてしまうからだ。
個人の感想になるが、和歌山線はほぼアウト、桜井線は奈良-桜井と、午後の運転時刻なら王寺-高田を含む区間に限られようか?
そんな中、見つけたのが、上の一連の走行写真を撮った和歌山線 JR五位堂-高田 間。ここが順光になるのは夕方限定とはいえ、その時間帯はかなり効率良く撮影ができる。
103系1000番台の前面に思い出がある方は、遭えるチャンスの多い、早い時期に訪ねることをぜひお勧めしたい。
ここに掲載の内容はアップ日時点の情報になります。その後に状況の変化や、変更があった場合にはご容赦ください。
※筆者2019年9月24日補足:2019年8月22日付でJR西日本より「万葉まほろば・和歌山線で順次運用を開始した新型車輛227系について、9月30日(月曜日)に全56両の投入が完了する見込みとなりました。」との発表がありました。
※筆者2020年3月14日補足:105系クハ105-6のSW009編成は紀勢本線の予備車として残存しているとのこと。アレアレ、締まりのない記事になってしまいました(汗)。でもね、もし運用に付いたら大ニュースだよね。
■筆者2021年2月1日補足:105系クハ105-6のSW009編成は2021年2月1日(月)回6442Mにて廃車回送されました。これにて103系1000番台顔の105系電車は全て現役引退したことになります。
[寄稿者プロフィール]
秋本敏行: のりものカメラマン
1959年生まれ。鉄道ダイヤ情報〔弘済出版社(当時)〕の1981年冬号から1988年までカメラマン・チームの一員として参加。1983年の季刊化や1987年の月刊化にも関わる。その後に旧車系の自動車雑誌やバイク雑誌の編集長などを経て、2012年よりフリー。最近の著書にKindle版『ヒマラヤの先を目指した遥かなる路線バスの旅』〔三共グラフィック〕などがある。日本国内の鉄道・軌道の旅客営業路線全線を完乗している。