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[場所]JR東海道本線 枇杷島-清洲など
JR東海道新幹線の下り列車が名古屋駅を発車して約5kmほどの車窓右側に、ゴールドカラーの上に泡を冠した生ビールのジョッキの中身のような色合いを施こしているタンクが林立する光景が見えてくる。これは キリンビール名古屋工場 のビールの発酵・貯蔵タンクで、実際に 生ビール に見えるように意図して装飾されており、列車の乗客へ、ここにビール工場があることをアピールしている。
ところで、そんなカラーのビールタンクだが、夕陽をあびて、まさにグラスの中へ注がれたビールが発酵炭酸ガスで シュワーッ としているように見える時間帯がある。
さて、そんな「シュワーッとした生ビール」に見える時間だが、一日のうちでわずかしかない。だいたい日没1時間前~30分前で、当然ながら良く晴れている夕方にしかお目に掛れない。
というわけで、そんな撮影時間に限りがある事情により、ここでの記事では新幹線と並行して走る JR東海道本線 に乗車しての車窓からの眺めで綴らせていただく点をお許し願いたい。場所は 枇杷島-清洲 間になる。
位置は東海道本線の下り列車を基準にすると、名古屋駅の次の 枇杷島駅 を出て1.2kmくらいの地点の右側で、ただ在来線は新幹線よりは低い所を通っているので一部が建物に隠れてしまい全体を一望することができず、新幹線からの眺めに馴れた方には違和感があるかも知れないが、それでも名古屋寄りの7本くらいは シュワーッ を見ることができる。
それでは、夕陽を受けたビールの発酵・貯蔵タンク群を在来線下り電車の車窓からの連続写真でお見せしよう。なお、解ってるとは思うが、左が岐阜方で右が名古屋方になる。
ただし「シュワーッとした生ビール」に見えるか否かは、あくまで個人の感想である点を先に申し添えておく。
上の写真を見てもらうと判るが、岐阜寄りのビールの発酵・貯蔵タンクの手前には建物が建っているため、北西側のビールタンク数本はスッキリと眺めることはできない。まあ広告看板のように後から立てたわけではなく、まずこの位置にビールタンクありきで、そこに 生ビール 調の装飾を施したわけだから、これは致し方ないことだとは思う。ちなみに、装飾がされたのは1997年とのことだ。
車窓から眺めているだけでは記事としては弱いので、ビールタンクと在来線の列車を絡めて撮影できる場所があるかも知れないと思い、確認いたしたくビール工場南側にある踏切を訪ねてみた。
それが下の写真になるが、ビールタンクの線路を挟んで対面には水処理施設が作られているため近づけず、ベストな位置からビールタンクと在来線の列車を絡めた写真の撮影はおろか、単にビールタンクだけを眺められる場所もないことが判明した。
せっかくなので、ビール工場の正門側にも回ってみた。位置は東海道線の線路とは真裏(こちらが表だが)で、県道67号に面しており、入口には「キリンビアパーク名古屋」の看板が据えられ、案内図も立っているので解りやすい。
「シュワーッとした生ビール」ネタとは直接関係ないが、ビールの発酵・貯蔵タンクから東海道本線を岐阜寄り(北西)へ1.3kmほど進んだ地点にある五条川には現役の鉄道橋梁以外に、上流(北東)側にそれらの線路と並行に廃線となった線路の上路プレートガーダー橋梁が架かっている。これは キリンビール専用線 跡で、1985年(昭和60年)まで使用されていた、その遺構になる。
締めに、この辺りの位置関係が解りやすいように、枇杷島駅西口前に立っている案内図を掲出しておこう。
ここに掲載の内容はアップ日時点の情報になります。その後に状況の変化や、変更があった場合にはご容赦ください。
[寄稿者プロフィール]
秋本敏行: のりものカメラマン
1959年生まれ。鉄道ダイヤ情報〔弘済出版社(当時)〕の1981年冬号から1988年までカメラマン・チームの一員として参加。1983年の季刊化や1987年の月刊化にも関わる。その後に旧車系の自動車雑誌やバイク雑誌の編集長などを経て、2012年よりフリー。最近の著書にKindle版『ヒマラヤの先を目指した遥かなる路線バスの旅』〔三共グラフィック〕などがある。日本国内の鉄道・軌道の旅客営業路線全線を完乗している。