[場所] JR常磐線 竜田-原ノ町・相馬-浜吉田
常磐線の不通区間を訪ねてみました
2015年6月時点での常磐線の不通区間は2区間あり、そのうち、浜吉田-相馬間は山側にルートを変更して、2017年春の復旧を目指して工事真っ盛りであり、現時点で運行中の相馬-原ノ町間からその南側、原ノ町-小高間は2016年春、小高-浪江間は2017年春、そして帰還困難区域を挟んだ富岡-竜田間は2018年春の復旧を目指して、それなりに工事が進展中である。
なお、今回は常磐線を北側から辿ったため、区間の表記は北->南に統一させていただいた。また、日々変化がある区間であるため、撮影した年月日が2015年6月18~19日であることも記しておく。
新ルートとなる浜吉田-相馬間
浜吉田-相馬間は、津波の被害が特に大きかった区間ということもあり、浜吉田-駒ヶ嶺間は、宮城県山元町と福島県新地町が市街地の一部を陸側に移転するまちづくり計画案の新規造成工事に合わせて新ルートを山側に新設し、これにより山下、坂元、新地の3駅も移設する計画である。訪れてみると、この区間は現在、従来とは全く違う場所に高架線や切り通しを造る工事が真っ盛りであり、ルートや駅位置はすでに確定していることが窺えた。
将に復興への鎚音という光景が見れて、頼もしいかぎりだった。
なお余談だが、鉄道線は北側から浜吉田駅まで運行しているが、鉄道線連絡の相馬駅行代行バスの始発駅は亘理駅になっており、浜吉田駅に寄らない便もあるので、もし訪れようと思っている方は、お間違えのないように。
追記:浜吉田-相馬間は2016年12月10日に運行を再開しました。
原ノ町-小高間の復旧は2016年春
原ノ町-竜田間では、途中に小高駅に立ち寄ってみたが、除草はもちろん、バラストの入れ替えなどの工事も行われており、復旧が近いことを窺わせてくれた。資料によれば、原ノ町-小高間の復旧は2016年春と、先に紹介の浜吉田-相馬間より早いのだから、当たり前といえば当然といえる。
また、小高駅の南側もバラストの入れ替えなどの工事が進行中だったが、列車がこないため工事がしやすいこの時期に、線路をベストな状態に整備しようとするのはもっともなことだと思う。
追記:原ノ町-小高 間は2016年7月12日に運行を再開しました。
竜田駅 レールは草むらの中へ
そして締めには竜田駅に寄ってみた。駅北側端に、車止めとしての枕木を置いたような光景を期待していたが、東京方面から来たレールは、何の表示もないまま、草むらの中へと続いていた。
東京駅に直結し、北千住-取手間には複々線を擁する超過密路線の行き着く先が、何の閉鎖物もないままに密林の中(表現をやや誇張しています)へスーッと消えていく様は、不思議な気持ちにさせてくれる。
しかし考えてみれば、ここは不通区間であり、車止めなどを設置してしまうと、利用者に将来の希望が断たれたような錯覚を抱かせてしまう危険があるので、この形がベストなのかも知れない。
常磐線がなるべく早く全通してくれることを、心から願っています。
[寄稿者プロフィール]
秋本敏行: のりものカメラマン
1959年生まれ。鉄道ダイヤ情報〔弘済出版社(当時)〕の1981年冬号から1988年までカメラマン・チームの一員として参加。1983年の季刊化や1987年の月刊化にも関わる。その後に旧車系の自動車雑誌やバイク雑誌の編集長などを経て、2012年よりフリー。最近の著書にKindle版『ヒマラヤの先を目指した遥かなる路線バスの旅』〔三共グラフィック〕などがある。日本国内の鉄道・軌道の旅客営業路線全線を完乗している。
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