身近に見られるノーズ可動式ポイント 京浜急行電鉄本線 生麦駅

鉄道旅を一層たのしくする車窓・施設案内シリーズです。

[場所]京浜急行電鉄 生麦駅

ノーズ部分も動く!隙間無しのポイント

レール方式の鉄道のポイント(分岐器)のクロッシング部には、車輪のフランジを通すためにレールに切り欠きが設けられているということは、鉄道が好きな人なら皆が解っていることと思うが、このクロッシング部の切り欠きをノーズ部が動くようにしてレール間に隙間ができないようにしたものがノーズ可動式ポイントといい、新幹線で使用されているということも、かなりの人は知っているだろう。

身近にもあるノーズ可動式ポイント

さて、このノーズ可動式ポイントが、在来線でも使われているのをご存知だろうか。そう、北越急行ほくほく線と成田アクセス線の一部で使用されていることは、ある程度知られている。しかしこれらは高速列車を走らせるために高規格で建設されている路線のため、この2線では敷設の構造上間近で見ることは難しい。ところが、そんな特殊なポイントが間近に見られる場所がある。それが京浜急行本線 生麦駅で、下り線の前後に設けられている。


この駅のノーズ可動式ポイントは1994年の下り待避線供用開始時から使用されたものだが、なぜこの駅に設置されたかの理由は不明。しかし、付近にロングレールの伸縮継ぎ目の特殊なタイプも設置されていることから、将来を見据えたスピードアップの試験も兼ねていたのかとも考えられる。まあ難しい話は置いておき、今回は、ノーズ可動式ポイントの動きを写真で楽しんでいただけたらと思う。

下り線泉岳寺方のポイント。直線側通過時(定位)にはクロッシング部のノーズが直線側ウイングレールに密着するように動き、曲線側が閉じているのが判る。そして、このノーズ可動のために転轍器が独立して設けられている。列車は600形607Fの快特 三崎口行。
下り線泉岳寺方のポイント。直線側通過時(定位)にはクロッシング部のノーズが直線側ウイングレールに密着するように動き、曲線側が閉じているのが判る。そして、このノーズ可動のために転轍器が独立して設けられている。列車は600形607Fの快特 三崎口行。

上写真のポイントは、曲線進入時(反位)にはクロッシング部のノーズが曲線側ウイングレールに密着するように動き、直線側が閉じる。列車は1500形1569F(旧1613F)の普通 浦賀行。
上写真のポイントは、曲線進入時(反位)にはクロッシング部のノーズが曲線側ウイングレールに密着するように動き、直線側が閉じる。列車は1500形1569F(旧1613F)の普通 浦賀行。

下り線三崎口方のポイントもノーズ可動式になっている。写真は曲線側(反位)が開いているところ。列車は新1000形1319Fの普通 浦賀行。
下り線三崎口方のポイントもノーズ可動式になっている。写真は曲線側(反位)が開いているところ。列車は新1000形1319Fの普通 浦賀行。

上写真のポイントの直線通過時(定位)におけるノーズの向き。安全側線のポイントもノーズ可動式になっているところに注目。
上写真のポイントの直線通過時(定位)におけるノーズの向き。安全側線のポイントもノーズ可動式になっているところに注目。

下り線泉岳寺方のロングレールの伸縮継ぎ目には特殊なタイプが使用されている。写真やや左上、トングレールの先。
下り線泉岳寺方のロングレールの伸縮継ぎ目には特殊なタイプが使用されている。写真やや左上、トングレールの先。

こちらは北越急行ほくほく線くびき駅の犀潟方にある1067mmゲージのノーズ可動式ポイント。高規格路線なのでホームから離れているが、250mmレンズを使用すればこのくらいには眺めることができる。列車はHK100形の快速 直江津行で、その後追い写真。
こちらは北越急行ほくほく線くびき駅の犀潟方にある1067mmゲージのノーズ可動式ポイント。高規格路線なのでホームから離れているが、250mmレンズを使用すればこのくらいには眺めることができる。列車はHK100形の快速 直江津行で、その後追い写真。

車窓案内というよりは床下案内になってしまったが、これを知っていると、京浜急行本線乗車時に生麦駅を通る際の気分が少し変わるのではないだろうか。また、沿道からも間近に見られるので、機会があれば生麦駅まで出かけて、ポイントの動きを眺めているのも面白いかなと思う。

ここに掲載の内容はアップ日時点の情報になります。その後に状況の変化や、変更があった場合にはご容赦ください。
なお、泉岳寺駅方のポイントは2019年初夏に固定クロッシングに変更されました。また、浦賀駅方の安全側線のポイントは、それ以前に固定クロッシングに変更されています。

[寄稿者プロフィール]
秋本敏行: のりものカメラマン
1959年生まれ。鉄道ダイヤ情報〔弘済出版社(当時)〕の1981年冬号から1988年までカメラマン・チームの一員として参加。1983年の季刊化や1987年の月刊化にも関わる。その後に旧車系の自動車雑誌やバイク雑誌の編集長などを経て、2012年よりフリー。最近の著書にKindle版『ヒマラヤの先を目指した遥かなる路線バスの旅』〔三共グラフィック〕などがある。日本国内の鉄道・軌道の旅客営業路線全線を完乗している。

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