「新幹線の父」十河信二氏を讃えた記念館の隣を訪ねる…後篇

四国鉄道文化館・南館の部

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[場所]JR予讃本線 伊予西条駅

JR予讃線 伊予西条駅に隣接する「新幹線の父」十河信二氏を讃えた記念館を中心にした四国・瀬戸内の西条市にある鉄道系テーマパーク「鉄道歴史パークin SAIJO」の展示施設のうち、前篇では「四国鉄道文化館 北館」を紹介したが、後篇では「四国鉄道文化館 南館」を訪ねてみよう。

伊予西条駅1番線ホームから眺めた謎の車輛。
南館脇に立てられた周辺案内図。
予讃線に高松(本四備讃線)側から乗車していた場合、伊予西条駅に到着した頃合の車窓風景左手(山側)に謎の流線形車輛が留置されているのを目撃した人は多いであろう。
この謎の車輛が停まっている場所が、四国鉄道文化館 南館になる。

ぽっぽ橋上から東方向に眺めた南館。
本来なら、この謎の車輛を北館より先に紹介した方が記事的にインパクトがあったかも知れないが、開館した順番を優先したため、こちらが後になった点はご理解いただきたい。
さて、では本編へ進もう。

謎の流線形車輛の正体は!?

南館へは、伊予西条駅本屋口東側(高松方)に架かる跨線橋にてフリーで渡れるので、これを利用していくことになる。ちなみにこの跨線橋を「ぽっぽ橋」と呼んでいるとのこと。
まずは、そのほっぽ橋上から眺めた謎の車輛のアップをお届けしよう。

謎の車輛のアップ。
そして地平から眺めた謎の車輛の姿が下の写真になる。

謎の車輛の周囲は普通の芝生広場に見えるが、実はミニトレインの線路を敷設してあって、たまにミニSLも運転されている。右が南館の建物。
この車輛はGCT01-201という形式番号の軌間可変電車フリーゲージトレイン第2次試験車の先頭車で、2013年9月に試験走行を終えてJR四国多度津工場に保管してあったが、四国鉄道文化館南館の建設を機に独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構から西条市へ譲渡されたモノ。
車輛の詳細などは下の説明板を見ていただきたくお願いする。

軌間可変電車フリーゲージトレインGCT01-201の説明板。右下に諸元が記されているので、データなどもそちらを読んでいただきたい。
それにしても、このGCT01-201は屋外展示の割にピカピカなのには驚かされる。

南館の中へ

南館の中には鉄道車輛が3両保存展示されていて、右からC57形SL、キハ65形気動車、DE10形DLの順に並んでいる。

南館へ入るとキハ65 34とC57 44がお出迎えしてくれる。左の模型SLもC57形。
それではC57形SLから眺めていこう。

■C57 44
C57形SLは1975年12月14日に北海道の室蘭本線で国鉄最後の蒸気機関車による旅客列車を牽引した岩見沢第一機関区の135号機が有名だが、44号機はその僚機で、国鉄で最後まで活躍したC57形SLの一両。

C57 44号はキャブ内が見学できる。
このSLは西条市市民公園に保存展示されていたが、当館建設を機にココへ移設されたモノ。
西条市市民公園に居た頃は、日本国有鉄道(国鉄)第4代総裁十河信二氏の雅号にちなみ「春雷号」と呼ばれていたそうだ。

■キハ65 34
キハ65形気動車は、四国では高松運転所に集中配置されていたが、キハ65 34号はその一両。

キハ65形はドア折戸と2段サッシ窓が特長。
この34号は四国で最後まで運用に就いていた車輛で、2005年にオリジナルの国鉄急行色に戻され、引退後は多度津工場で保管してあったが、西条市がJR四国から借り受けて当館に展示したモノ。

やはり車内が見学できる。
足回りが見れるのは海側(予讃線基準)のみ。
妻面にエアコンの室外機が付いているのと貫通路が塞がれているのが判かるが、コレらの装備は現役時代にはなかったことは言わずもがなだろう(笑)。

■DE10 1
DE10形DLなら未だ現役機が居るので珍しくない…と思った人も居らっしゃると思うが、コレはファーストナンバーの試作機で、それなりの記念車といえそうだ。

DE10 1は外からキャブ内を眺められる。
試作機は2両居て、共に1966年に松山機関区に配置され、試験運用を開始した。この1号機は1987年に廃車になるまで一貫して四国で活躍したカマだ。

■軌道用自転車
DE10 1号の手前のレール上には軌道用自転車が置かれている。

南館の軌道自転車はエンジン付。
そして、北館同様にこの先には扉があり線路が屋外へと延びていることに気づかれた方も多いだろう。

前篇を読んでいる方は想像できると思うが、この線路は寸前の扉の向こうの屋外まで延びている。
実際その通りで、線路が屋外へと延びていて、伊予西条駅の側線ともつながっている。
館内の線路が本線とつながっていると思うと、そのレールを見ているだけで何かアレコレ夢がふくらんでくる。

屋外まで延びた線路は、その先で伊予西条駅側線とつながっている。線路とランプ小屋の微妙な位置関係も面白い。
なお、南館内から屋外へ、さらに伊予西条駅の側線とつながっている線路は2本あり、DE10 1とキハ65 34の展示レールがそれに当たる。

■鉄道模型レイアウト
北館に展示の鉄道模型レイアウトはNゲージだったが、南館の鉄道模型レイアウトは16番スケールのHOゲージ大型ジオラマが設置されている。

南館のレイアウトは16番スケールHOゲージで、四国の特長ある沿線風景をジオラマで再現しているとのこと。
筆者が訪れた時には自動運転だったが、いまはどぉなっているのだろう?

■カーゴクレーントラック
保存展示車ではないが、南館前の屋外にカーゴクレーントラックが停まっていたので、その写真も載せておこう。

一見、現役の軌陸車をネタとして展示しているのかと思いきや、よーく眺めたら鉄輪が付いていなかった(笑)。
実は、軌陸車と思って撮ったのだが、後で写真をよーく眺めたら普通のトラックの足回りだった(汗)。
っということで鉄道車輛ではないが載せてしまった件はお許し願いたい。

四国鉄道文化館 北館
開館時間・休館日・入館料などは下記URLにて。
https://s-trp.jp/about.html

鉄道歴史パークin SAIJOの碑ではないが…

鉄道歴史パークin SAIJOに立つモニュメントではないが、JR東海道新幹線 東京駅18・19番線プラットホーム新大阪寄り端に鎮座する、新幹線の父と呼ばれている十河信二第4代国鉄総裁を顕彰した「一花開天下春」の碑の写真を、せっかくの機会なのでココに載せさせていただく。

しつこく言うが、このモニュメントが立つ場所は四国の西条市ではなく、東京都の東京駅東海道新幹線ホーム上になる。碑文は右から記されているため「一花開天下春」と読む。左のレリーフが十河信二第4代国鉄総裁の顔。右の電車は東海道新幹線N700A。
この写真は、2019年5月17日アップ「駅前などにある鉄道系展示品を訪ねる(8) 東京都・東京駅」の記事中で紹介したモノの再掲なので、詳しくは上の赤線部分をクリックしたらその記事へとリンクするので、そちらも読んで戴けたら有りがたい。

ここに掲載の内容はアップ日時点の情報になります。その後に状況の変化や、変更があった場合にはご容赦ください。

[寄稿者プロフィール]
秋本敏行: のりものカメラマン
1959年生まれ。鉄道ダイヤ情報〔弘済出版社(当時)〕の1981年冬号から1988年までカメラマン・チームの一員として参加。1983年の季刊化や1987年の月刊化にも関わる。その後に旧車系の自動車雑誌やバイク雑誌の編集長などを経て、2012年よりフリー。最近の著書にKindle版『ヒマラヤの先を目指した遥かなる路線バスの旅』〔三共グラフィック〕などがある。日本国内の鉄道・軌道の旅客営業路線全線を完乗している。