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[場所]JR奥羽本線 秋田-JR男鹿線 男鹿
JR東日本の交流用一般形蓄電池駆動電車EV-E801系2両1編成が、交流電化線区において走行可能な蓄電池駆動システムの技術的検証や将来の発展に向けた可能性を探るため、JR奥羽本線 秋田-JR男鹿線 男鹿 間へ2017年3月から投入され現在営業運転に就いている。
交流電化区間に絡めた交流用蓄電池駆動電車はすでにJR九州においてBEC819系(その記事はココをクリック)が実用化され2016年10月19日から投入されているが、EV-E801系は同じ交流20kVでも50Hz用の違いがある。
ところで、このEV-E801系だが、なんと「ACCUM」の愛称が付けられている。「ACCUM」といえばJR東日本の東北本線 宇都宮-烏山線 烏山 間で2014年3月15日から運行されている、直流1,500V電化区間に絡めた直流用蓄電池駆動電車EV-E301系に付けられた愛称で、当サイトでも2015年7月29日アップで「ACCUMに乗ってみよう」(←その記事はココをクリック)として紹介しているが、同じJR東日本ということで、似たシステムの電車に同じ愛称を付けるのはごく自然なことなのだろう。
駆動方式などの概要は下々の写真の中の解説を読んでいただけたらとお願いしたい。
交流用EV-E801系ACCUMの車内には、JR九州のBEC819系よろしく連結面寄りに陣取った機械室壁面に電気の流れを表示するモニタのマルチサポートビジョンが設置され、車輛に搭載されている制御機器や電動機などがいまどんな仕事をしているのか画像で解るようになっている。
では、そんなモニタにどんな画像が表示されるのか、秋田駅側のいわゆる電化区間側から眺めていこう。
JR奥羽本線 秋田-JR男鹿線 男鹿 間で現在運用に付いている交流用のACCUMは1編成のみのため、列車本数は3往復しかなく乗車機会は限られるので、乗るにはその運用を狙わなくてはならないが、時刻表では列車番号に「M」が付いているので判りやすい。
これで交流用EV-E801系ACCUMが東北地区での実用に耐えうるメドがたてば、左沢線などの行止り線での使用や、さらには羽越線北側からのデッドセクション以南への片乗り入れなど、使用したい線区はかなり広がることだろう。
男鹿線 終着男鹿駅は2018年7月1日に移転!?
男鹿駅はJR男鹿線の終着駅になる。プラットホームは頭端式で1面2線、そこに側線が海側に+1本ある線路配置になっており、そのうち山側1番線に地上充電設備が2個設置されている。
男鹿駅は2018年7月1日に駅舎を線路終端部側に新築移転した。これにより営業キロが0.2km短縮された…という情報も得ていたので、どのように短くなったのかを確認する目的もあり、交流用ACCUMの初投入ネタ的には約1年半遅れのタイミングではあるが、その駅舎移転がJR男鹿線を訪ねる切っ掛けにもなったわけである。しかし実は、意に反して筆者が訪れたのは2018年6月末で、まだギリギリ旧駅舎を使用している時期になってしまった。
ただ、そんな旧駅舎に交流用ACCUM絡みの展示が多数あったので、それらの展示物を撮影した写真の一部を旧駅舎時代のお名残り乗車の記録として載せておこう。
訪れた結果、新しい男鹿駅はプラットホーム位置は同じで、駅舎が線路終端側に新築移転したという改良で、これがなぜ線路短縮になるのか、やや疑問は残ったが、車止めの形態や新駅舎の位置が確認できたのは有意義な訪問だったと思う。
当サイトの読者なら、何をいまさらの交流用EV-E801系ACCUMの話題かとは思われるだろうが、上記のように男鹿駅舎の移転による新駅舎やその待合室の新たな展示物の見学をも兼ねて、乗りにいくのも良いかなとも思ったので、この時期に掲載させていただいた。
ここに掲載の内容はアップ日時点の情報になります。その後に状況の変化や、変更があった場合にはご容赦ください。
[寄稿者プロフィール]
秋本敏行: のりものカメラマン
1959年生まれ。鉄道ダイヤ情報〔弘済出版社(当時)〕の1981年冬号から1988年までカメラマン・チームの一員として参加。1983年の季刊化や1987年の月刊化にも関わる。その後に旧車系の自動車雑誌やバイク雑誌の編集長などを経て、2012年よりフリー。最近の著書にKindle版『ヒマラヤの先を目指した遥かなる路線バスの旅』〔三共グラフィック〕などがある。日本国内の鉄道・軌道の旅客営業路線全線を完乗している。